本章★ do or die..(長編)★

□NEARBY
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「何してのっ」
「それはこっちのセリフだ。
人の部屋の前でうろちょろしやがって。」
「う・・・気づいてたのね」
「お前の気配ぐらいすぐわかる。」
気だるそうに首を鳴らしながら「入れ」とドアを開けられる。
すごすごと部屋に入ると読みかけの本と、その奥に数冊開きっぱなしの本が乱雑に置かれていた。

「で、何の用だ?」

何の用、と言われましても。
「・・・・・」
あ、やばい何の用も思いつかない。気まずい沈黙が流れてしまった。
ローの眉間に余計皺がよる。
「ろ、ローは何してたの?
しばらく見なかったけど。」
「調べものだ。」
「へ、へえ・・・」

「・・・・」
「・・・・」

あ、やばいまた沈黙。何も話題が思いつかない。
そういえばローとしっかり話したことなかったな。
無愛想ながらもいつも私を気にかけてくれているような感じだったけど
今は何だか少し遠くなった気がする。
「で、用事はなんだと聞いている。」
「えーっと・・・
ちゃんとご飯食べてる??」
あ、唐突すぎた。明らかに怪しまれてる感じがっっ。
「うるせえ。
用事も何もないなら出てけ。」
嗚呼イライラされた。
背中を乱雑に押されてドアまで向かわせられる。
「あ、あの、何だったら私作るけど!」
手の力が急に弱まる。

「それは何でだ。」

「え、だって、ご飯食べてないんでしょ?
コックさんより劣るかもしれないけど、少しメニューを変えた方がいいかなって。」

「何故ショーが作ろうとする。」

「そ、それは・・・」

背中越しにローの手の体温が伝わり、心臓が高鳴っていく。


「キャ、キャプテンだから!
キャプテンをクルーが心配するのは当たり前でしょ!!」


ダンッ!!

鈍い音が私の耳元で鳴り、思わず目を瞑った。
目を開けるとローの顔が合って、私は壁に腕を付いたローの間に挟まれてしまった。
何故かわからないけれどローは明らかにイライラしていた。
寝てもいないのか、いつもより目の下の隈がはっきりと見えていた。
「キャプテンと呼ぶな。」
「え・・・」
「ショーに呼ばれると虫唾が走る。」
その言葉とその目つきに私はビクッと肩が震えた。
「ご、ごめん・・・・」
ハアとローはため息をついた。
「あ、あの・・・何かあった?」

ローはチッと舌打ちをして、
「なんでもねえよ。」
と吐き捨てた。

その表情がすごく苦しそうで、何とも言えなくて。
「・・・オイコラ」
思わず手を伸ばして頭をくしゃくしゃしていた。
ローの髪の毛は短くて、細くもないし太くもない。髪から潮の匂いとローの匂いがふわっとした。
ベポをモフモフするぐらい、ローの髪の毛は好き。
いや、思わず触っているぐらいだからそれ以上なのかな・・・。

「・・・っ!」
がばっとローに抱きしめられる。


「俺はどうすればいいんだ」
「ロー・・・?」

「ショーが仲間になると、アッチの世界には戻らないと決めタトゥーまで彫った。
チユチユの実の能力者が宿敵ではなくなったんだ。
それで万々歳じゃねえか。」

ローの腕の力が強くなる。
胸に顔を押し付けられて少し苦しかったが、ローの手は少し震えていた。

「だがアイツらが俺を何と呼ぼうと何にも思わなかったのに
ショーが俺をキャプテンと呼ぶたび腹が立つ。
俺しか触ることができなかったショーが
他の奴に触られると腹が立つ。

これ以上お前に俺は何を求める必要がある?」
ハア、とローはまたため息をついた。

「お前を見ないように距離を置いていたのに
何故用もないのに部屋に来た?」




何故、と言われると・・・困る・・・。

「ごめんなさい。
こういう時どう言っていいのかわからない。」
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