本章★ do or die..(長編)★
□the investigation
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The investigation
「ショーちゃんよく外出するようになったわね」
節子先生がうきうきしながら、子供たちの配膳をする。
ローとの電話から私は元気を取り戻し、日夜出かけては人探しをしていた。
チユチユの実があるなら、他の悪魔の実、バーソロ屋とかいった大男が食べた実の能力を持っている人もいるかもしれない。
だが何も情報のないままの人探しは途方もない労力だ。
あれから一週間探し続けているが一向にくまのような大男はいない。
そもそも大男が能力者とは限らないのだ。
それでも妙な自信から私は動き回っていた。
寧ろローたちが待っていてくれているのに自分が何もしないでいられる筈がない。
私は先生の話を卵焼きを頬張りながら頷いた。
「そうなの、頑張るってきめたから」
「ショーちゃんは表情豊かになったわね。
子供のころは、言い方悪いかもしれないけれど、蝋人形のように顔色変えなかったもの」
しばらく会っていない間に増えた目じりの皺を節子先生は見せて笑った。
「そう、かな」
確かに、蝋人形のように何も考えず何も感じなかったかもしれない。
それは、まあ、いじめられて石とか投げられてもすぐ治る体質だったからかもしれないけれど。
「恋でもしたの?」
ブフー!
「うわ!姉ちゃん味噌汁吹いた!!」
子供たちがギャアギャア騒ぎ出す。
違うと否定しても先生はそうかそうかと口に手を当てて含み笑いを繰り返すだけだった。
その夜、電々虫が鳴った。
ハートの海賊団の仲間たちからだった。
ローから話を聞いてここ一週間ずっと夜に電話をかけてくれる。
皆代わるがわる最近の出来事を離してくれる。海軍とやりあったとか、海で釣りをしていてうっかり海王類つりあげて潜水艇がひっくり返りそうになったとか。
声をあげて笑える話ばかり。皆元気そうでよかった。そこに私も早くいけたらいいな。
「で、キャプテンがさ―・・・」
キャプテンという言葉にドキ、とする。
ローの話になると胸が高鳴る。
「―・・・でもキャプテン、最近札付きの海賊しか切らねえんだよな。前はかかってくるモンは海軍でも何でもズッタウズタに切り刻んでたのに。
まあただ残忍さは以前にも増してるのは確かなんだがな、ハハ!」
“俺は王下七武海に入る”
ローは手に入れようとしていたもの、おそらく七武海に入るための“名声”・・・・。
思惑がよぎり胸の高鳴りが隠せない。
早く会いたい。
話を聞きながらふと外を見る。
『でさぁ・・・ん?
ショー??』
ペンギンの声に私は答えることはなかった。
グラウンドに人影が見えたからだ。
それは見覚えのある影。
街頭に照らされてゆらゆらと不気味に揺れ動いており、薄暗い部屋の中にいる私に視線が注がれていた。
表情はわからないが、大きな口が笑っているように思えた。
私は話中にも関わらず電々虫を放り投げ、窓からグラウンドへ飛びだした。
「はぁ・・はぁ・・・何故あなたがここに・・・?!」
漆黒のスクリーンから注がれる鋭い視線。
ショッキングピンクのジャケットを風もないのにはためかせ私を見下ろす。
そして長い舌を出して笑いかける。
「・・・ドンキホーテ・度フラミンゴ・・・・ッ!」
「取引をしようじゃないか。」
私は生唾を呑んだ。