本章★ do or die..(長編)★

□THE FATALIST
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The FATALIST

ゴゴゴ・・・
轟音や怒号があたりを充満している。
耳を塞いでいても体の芯に響く地響きから逃れられることはできない。

ドフラミンゴは私に「どうする?」と問うや否やどこかに飛びたってしまった。
遠く西の方で海賊同士が混乱しながら互いを打ち合っているのが見えたのでおそらくそこの辺りにニヤニヤしながら糸を引いているのだろう。

「どう、どうするったって・・・この状況は何もできないでしょうが・・・」

私は再び船の陰にでも隠れようとそろりと四つん這いで一歩踏み出した。
ズッ・・・
私の頭上に大きな影がかかる。雲ともいえないような重圧感があり、恐る恐る上を見上げる。
そこには2メートルを超えるだろう大きな髭を生やした屈強なおじいさんが立っていた。
私が這いずって陰から出ていた所為で危うく踏みそうだったその足を元の位置に戻す。
大きすぎて頭上の太陽が見えない。
呆気にとられていると、白いひげのおじいさんは私に目をやった。

「こんなところにいると怪我するぜ、嬢ちゃん」

さきほどドフラミンゴが言っていた白ひげという船長はこの人に間違いない。外見からくる名前も、世界を統べるであろう男としての重圧も申し分ない。
だが私に怪我するぜ、と言っている手前、胸から大量の血が流れ出ている。
「白ひげ、、、さん、怪我がひどいわ!」
駆け寄ろうとする私を大きな掌が制止する。


「男にはやらなければならない時がある。
息子を守るのが親父の役目だ」


そう言って一歩踏み出そうとした瞬間、白ひげは胸を押さえて倒れこんだ。
心臓発作だろうか、苦しそうに両膝を地面についてしまった。

戦っていた海賊たちも白ひげの異変に気づき、口々に“オヤジ”と声をかける。

「っ!!!!」

白ひげの容体に気を取られていた所為で次々と不意をつかれて攻撃を受ける。
そして白ひげも例外ではなかった。頭上より、海軍の制服を翻しこの機を待っていたとばかりに手にマグマを携えた男が降りかかってきたのだ。
「っ・・・」
近くにいた私もとばっちりを受ける。今まで感じたことのない高温で皮膚がやける。
「白ひげさん!」
寸での所で急所は外したものの、足元は覚束ない。それを狙っていたかの様に海軍が押し寄せる。


「グズグズするな!全員で白ひげの首を取れ!!!」

その一声により、海軍たちが白ひげに詰め寄る。
「だめ!!」
いくらなんでもむごすぎる。あんな大人数で傷だらけの人に攻撃するなんて。
私は庇おうと前に出る所で白ひげの大きな手に制止された。

「俺は白ひげだ!!」

そういうと何十人もの屈強な海軍を一撃でなぎ倒した。
「す、すごい。。。」
呆気にとられていたが気が付けば白ひげの後方には、仲間の海賊たちが取り囲み、攻撃を防いでいた。


「・・・。嬢ちゃんに守られるほど老いぼれてはねえんだが。」


白ひげが私を後ろに追いやろうとする手をすり抜けて私はとっさに前に立ち両手を広げた。

私は威圧感に息を呑みながら振り返って、喧騒の中叫んだ。

「白ひげさんっ、死に急いではいけないです!」

自分の発した言葉に今までの自らの自虐行動に少々の矛盾を感じつつも、
この人は死なせてはいけない気がしてならない。

いきなり出てきた小娘に何がわかる、と言いたげに一睨み返ってくる。
後方を守っていた海賊たちも何事だと戦いながらも聞き耳を立てている。
委縮しながらも私は声を上げた。



「私は、“チユチユの実”の能力者!!

ハートの海賊団、死の救急救命士です!!」





「「「なっ??!!!!」」」




「白ひげさん、あなたを治療させてください!!!」









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