本章★ do or die..(長編)★

□THE INTERLACING
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赤髪のシャンクスと呼ばれる四皇が表れて戦いの終止符をうったのがつい2,3時間前。
傾き始めた日を背に亡き白ひげの海賊団の人たちの船に乗せられ向かったのは海軍本部から少し離れた孤島。
とにかく負傷者の治療が先だと、船医たちに紛れながら私は瀕死の重傷を担当することとなった。

人を治すのなんて道端でナンパしてきてうっかりミイラにしてしまいそうになったあの男以来。
現に2回目にも関わらず、緊張で逆の能力が発揮したらどうしようと思っていたが
一秒すら無駄にできない危篤状態の人たちがわんさかいたため、躊躇なんてしてられなかった。

「・・・・も、もうだめ・・・・」

一段落するころにはもう疲労困憊でふらふらと砂浜の上に大の字になって転がってしまっていた。
緊張の糸が緩んだ時、ふと熱い視線に気が付く。
はたと周りをみると先ほどまで瀕死状態だった何人もが尊敬と感謝で目に涙を溜めて私を見ていた。
おそらく治癒しているところをずっと見ていたのだろう。
私が落ち着いたのを見計らって大勢が私にかけよってきた。

「嬢ちゃん!

いや、ショーさま!!」

「ありがとう!
あんたが居てくれてよかった!!!」

疲れすぎて動けない私をつかんで感謝の気持ちを述べる。

「い、いえいえ・・・お役にたてて光栄です。」

顔の筋肉さえ疲れを訴える中私は頑張って笑って答えた。
でも、こんなに感謝されるって初めてかも。
嬉しいやら恥ずかしいやら複雑な気持ちだ。

でもきちんと触れて能力が発揮できたのもハートの海賊団のクルーたち
そして能力の相殺し、無効化するローのお蔭だ。

ちゃんと出来てよかったとほっとするも
もう力を使いすぎて体がうまく動かない。

能力の発動は体力を消耗するからトレーニングしとけとローに言われた言葉が
今更ながら痛感する。

「おいおい、それくらいにしておいてやれよい。」

人込みをかき分けてやってきたのは金髪をこめかみまで刈り上げた、深い瞼をした男。
たしか白ひげ一番隊隊長、マルコ。遠くで見みていたが不死鳥の姿は荘厳だった。

マルコは片手に持っていたコップを差出した。
「ショー、だったかァ。
俺からも礼を言うよい。
ありがとう」

私はゆっくりおきあがり
コップを受け取って一口飲む。
レモン水だろうか。
疲労した体に染み渡る。


「場所が場所だったので連れてきてしまったが、
今日はゆっくりウチの船で休んでくれよい。

たしかハートの海賊団とか言ったかい?」

「ええ。」

「落ち着くまで時間がかかるが
それから送ってやるよい。
それぐらいはさせてくれい」

私は口元に持っていていたコップを俯きながら太ももに置いた。

「・・・・」


「どうしたよい」


白ひげもエースも死んでしまった今、私の事なんて構っている暇なんてないだろうに
マルコは私の隣に座って心配そうに見つめた。

私は涙が出そうになる瞳を必死で紛らわせようと少し笑った。



「――・・・・今は、帰れないんです。」







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