本章★ do or die..(長編)★

□the conference
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「・・・・」
「・・・・」

扉の真正面のバルコニーに目を見開いて驚くショーの姿が居た。
刺繍のほどこしたいい仕立てのワンピースを着ている。
数か月見ない間に何だか魅力が増した様な感じがする。

おろおろと目を動かすショーを見て
遊び心と灸をすえてやろうと俺は何食わぬ顔で奴から視線を外して席についた。
俺に隠れて世界を渡たり、白ひげと海軍の戦いに首を突っ込みいつの間にか1億ベリーの
賞金首になっていた。挙句ドフラミンゴと取引をしたと見る。

タダでは済むなと思うなよ。

目の端で動揺を隠せないショーの顔が写って思わず口が緩みそうになるのを抑えた。

「王下七武海の新入りだ、
道化のバギーと死の外科医トラファルガーローだ」
センゴクが簡単に説明をする。

「どういう風の吹き回しだ、ロー」

ドフラミンゴは怒りを隠そうとしているが、眉間にこれでもかと皺が寄っていた。
俺はその表情が愉快でならなかった。

「賞金首の海賊の心臓を100個海軍にくれてやったんだ。
文句ねえだろ」

「そうじゃねえ、
どういう魂胆だと聞いている」

辺りがピリリとした空気に包まれる。
「全く、わらわは喧嘩を観覧しにきたわけじゃないぞ。
要件を済ませてさっさと終わらせてくれ」

腕を組んでふんぞり返っているのはハンコック。
一瞬目があったが、やつはルフィーを女ヶ島に匿った手前、俺とは初見を決め込むつもりらしかった。

「なァに、要件はこいつさ」

ドフラミンゴは親指をバルコニーへと向けた。
ショーの顔が青ざめると同時に俺の体中の血流が凄まじい速度でポンプアップする。

「チユチユの実の能力者だ。
海軍も海賊も、こいつの血を欲しがっているんじゃァねえのか?」

「“王下七武海”のクルーじゃなければ今頃
とっ捕まえてインペルダウンへ幽閉しとるとこやったのう」

ショーが両手を口に当てて声を出さないよう必死にこらえるのを見て
俺は無表情を崩しまいと奥歯をかみしめて堪えた。


「どうだ?
ビジネスをしようじゃァねえか。

死の救急救命士の血清から増強剤を作るんだ。
海軍は不死身の軍隊になるぜ?」

「ほぅ、してお前の利益は何と見るんじゃ?」

ドフラミンゴは長い舌を出し笑った。

「・・・ベガパンクの頭脳が要る。
奴じゃなきゃコイツの血清から能力を引き出すことができねえだろう。
だから作った増強剤の成分とレシピを俺に渡せ」

「・・・リスクが高すぎる。レシピを渡せば簡単に海賊にも渡ってしまうではないか。」

・・・成程。ドフラミンゴはそれでショーを取り込もうとしてたわけか。
偉大なる航路へ戻す代わりに粗方、ショーの血をわけるという取引でもしたのだろう。

・・・気に食わねえな。

センゴク、赤犬とドフラミンゴが血の取引について交渉している中、ショーは俯いて震えていた。
仕方ないことだ。海軍本部に連れてこられて自分の血について海軍も海賊も躍起になっているのだから。
きっと怯えているに違いない。
だが駒は今ドフラミンゴにある。

今動くべき、か。

今後の作戦にも影響する。
状況を打開すべく試案しているとショーがいきなり顔をあげた。





「っふざけんな!!!!!

私は、モノじゃない!!!!!」




・・・おいおい、怯えてたんじゃなくて怒ってたのか。
その度胸に胸を撫で下ろしたのも束の間。

大声を張り上げたかと思うと、
いきなりバルコニーに足をかけた。

「ショー!!」

「っ・・・」

ふいに俺に呼ばれたショーが振り向く。


が、すぐに俺を睨み、少し切ない目元を残しそのまま何メートルもある高さから飛び降りたのだ。






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