本章★ do or die..(長編)★

□the arrangement
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The arrangement

「アイアイショーー!
朝だよー!!」
がうと牙を見せながら勢いよくやってきたのはベポ。
「うー・・・」
私はというと昨日泣きはらしたせいで瞼が張り付いたように重く
またいきなり起こされた所為で布団をまた深くかぶって寝入る体制に入った。
そんな私を気にせずベポはカーテンを開け日光を部屋に入れて
私の布団をいやおうなしにひっぺがした。
「ベポ・・・私病み上がりなんだけど・・・・」
言い訳がましい事を言いながら恨めしそうにベポを見上げる。
「うそ!もう元気なはずでしょ」
「う・・・」
「ほら、ショーは俺の下なんだから
お使い行ってきてよ」
そう言って差し出されたのはお使いメモ。

「・・・・」
「あ、何その嫌そうな顔!
数日寝込んでたんだ、その分体慣らすのも含めて外出ておいでよ」

ふと窓の外を見ると久しぶりの陸が見えた。
私が倒れている間に次の島に到着したらしい事に気づく。
私はベポにわかりました先輩と言い街に出る準備をすることにした。




潜水艦内で機械振動に慣れた自分の足が久しぶりの陸に違和感を感じている。
ここは秋島の様で少し気温が肌寒く感じたが薄手のパーカーに膝上丈のデニムのスカート、ブーツの出で立ちで
街へ向かった。もちろん、顔がばれているかもしれないので深めのキャップの上からパーカーのフードを被った。
「しかし・・・
何だこれは」
渡されたのは2枚のメモ。
先日私が大量に摂取したであろう解熱剤の品名。これは薬局で聞いたらわかるだろう。
二枚目にはベポが書いたであろう子供が書いた宝の地図のようなミミズ線の絵。
「暗号かこれは。」
丁寧にも肉球スタンプが擦れておされている。

島の輪郭が模られていたのである程度薬局がここらへんなのだろうという
見当はつきそうなつかなさそうな・・・。
方向音痴でなかった自分に安堵する。

薬局を目指していく途中少し入り組んだ道に入らなければならなかった。
奥に行くにつれて鼻に着く色香が漂ってくる。
看板には下着丸出しの女性やネオンライトのピカピカ光る装飾。
男の人が鼻の下を伸ばし女の人に手を引かれて店へと消えていく。

嗚呼、嫌だなこういうとこ・・・。

目を合わせず、あまり見ないでおこうと
メモを真剣に見るふりをして俯きながら進むことにした。
「お兄さん寄ってきなよぉ〜」
「いい顔してるじゃないかぁ」
狭い路地に女の人が3,4人ほど男の人にたかっていて通れない。
私は少しイラっとしながらあまり邪魔しない様に壁に服をこすりながら進もうとしたが
なかなか進めないので意をけして後ろ手で女の人を押した。
「すみません」
女の人は私に眼中にないようですんなり間をあけてくれた。
ほっとして先へ歩を進めようとした途端、
「っ!」

ぐんとパーカーのフードを引っ張られる。何事か振り向く前に上から声がふってきた。
「ツレがいるんだ。
どいてくれ。」
「・・・ロー?!」

女の人に絡まれていたのはローだった。
昨日の今日だ、どういう表情で向かい合えばと戸惑いより先に
ここで会うと思ってなかったので驚きが先にきてしまった。
そんな私を気にせずローは私の肩を抱いて彼女たちに一瞥し歓楽街を後にした。





「・・・」
「・・・」
歓楽街を後にしても肩を離してくれないロー。
「あのロー、
私ベポに頼まれたお使いがあるの」
恐る恐る見上げながらメモを見せる。

「・・・・なんだこれは」
「ベポ地図書くの下手だよね、ははは」
「いや・・・」
怪訝な目をしてメモを見つめ続けるロー。
もしやローはこの地図読めるのか?

徐にローは自分のポケットからメモを取り出した。
そこには同じ解熱剤の名前を書いた紙と地図。
違う所は綺麗な字と事細かく書かれた地名と場所。
「わかりやす!」
「・・・朝ペンギンが持ってきた。
薬が切れたので買い出しをと。」




・・・ん??




「・・・・」


「・・・・ふ、二人とも行き違いで頼んじゃったのかな?
それじゃ私要らないよね!」



じゃ、と踵と返して船へ帰ろうとするとまたパーカーのフードを引っ掴まれて首が締まった。



「付き合え、薬局はすぐそこだ」



有無を言わさず私はローに引かれるままついて行くはめになってしまった。
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