本章★ do or die..(長編)★

□The encounter
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The encounter



波止場には朝日が差し込んでいた。
停泊して1日、ベポ曰くもう少しでログが溜まるらしい。



昨日町はずれのバーでローの知り合いというエルーザという女性にあった。
それから小一時間ほど皆で飲んで船に何人かで帰ってきた。


・・・ローはしばらくいると言ってペンギンとエルーザさんのバーに残った。



ローがあそこまで驚いた顔を見たことがなかった。
お酒の席でもあったし、何だか話題も弾んでいる様子だったので
私は二人がどう出会ったのか、どういう知り合いなのか聞けずにそのまま船に帰ってきてしまった。


甲板の手すりに頬釣りを付き、バーのある方向をぼーっと眺めていた。



「どうしたショーあほ面しながら陸なんか眺めて。」



声をかけてきたのはシャチ。見張り台から私を見下ろしていた。シャチが今日見張り番らしい。


「・・・・・」


じと、と睨むもシャチは何で睨まれるのかわからないと言った様子でなんだよと焦った。


「なんでもないよ。なんでも・・・」


バーのある岸辺の方から人影が見えて私ははっとした。

近づくにつれそれが白いツナギを着たペンギンだと気づく。


「・・・・」


あれ?
今ローじゃなかったって思ってがっかりした自分がいて、
何故ローだったら嬉しかったんだろうと一人自問自答して私は首を傾げた。


「なんだ、一人百面相なんかして」


よいしょと上がってきたペンギンが私に話しかけてきた。

「ペンギン、ローは??」
「あー、船長ならまだあのバーにいる・・・」


少し戸惑い気味のペンギンの態度に私は不安になった。



「あの、ペンギンっ・・・」




艦内へと戻ろうとするペンギンを私は思わず足止めしてしまった。


「えっと・・・」


振り返るペンギン、頬杖をつきながらそれを見守るシャチ。
何か、ローの昔の事をペンギンに聞くのって気が曳ける。
でも呼び止めた手前何も言わない私にペンギンは私の頭に手を置いて髪を撫でた。


「ははっ、なんて顔してんだよ。
―――・・・
俺もよくは知らない所があるが、あのエルーザという女は
船長の同郷だ。」



「ど、同郷??」







ペンギンは頷いた。

「あまり本人の口から言おうとしないから俺もよくは知らないが」



少し寂しそうなペンギンを見て私も胸が痛んだ。



”ブゥン・・・”



重低音と共に急に円形の空間が甲板に表れた。
現れたのはローと、エルーザさん・・・。
エルーザさんの両手には大きなカバンを3つ抱えていた。



「ペンギン、あまりべらべら喋るな」
「・・・すみません」

ペンギンは少し肩を竦めそれを取り繕うように帽子を被りなおして艦内へと消えて行った。


「・・・・?」


はたとエルーザさんと目が合い、にっこりと笑みを返された。

「ショーあとシャチ。医務室の隣の空き部屋を片付けろ。
そしてエルーザを案内してやれ」

「え?」

ぽかんとする二人に申し訳なさそうにするエルーザさん。
そして彼女はぺこりと頭を下げた。
「しばらくこの船でお世話になります。
改めましてエルーザ=オックスフォードといいます」

驚く二人を余所にローはスタスタと歩き始めた。
ミドルネームというのだろうか、彼女は当初告げたフルネームの中の”F”を口に出さなかった。



「・・・エルーザ、食堂を案内する。
ベポはどこいった?
すぐ出航の準備を」


はい、と着いて行くエルーザさんと、クルー達に支持をするローを始終口を開けながら見守っていた私とシャチ。




「お、おい!どういうことだよっ」



シャチの方が私より我に戻ったのが早かったようで、見張り台から飛び降りてきて私の肩を揺さぶった。



「・・・・さ、さあ・・・。私もさっぱり。


とにかくエルーザさんの部屋の準備をしよう」




そうだ、とにかく言われた通り片付けしよう。


動揺する自分を落ち着かせようとシャチを引きずって部屋の準備に取り掛かった。














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