本章★ do or die..(長編)★

□The encounter
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ログが溜まり、出航して数時間。天候、航路も落ち着いてきたところで皆食堂への招集連絡がきた。
私とシャチもホコリまみれの服をはたいて食堂へと入る。

食堂の前にはローとエルーザさん。
若干緊張しているエルーザさんを横目にローは彼女の肩に手を置いた。
「今日からしばらく居候をする、エルーザだ」
“居候”という言葉に何かひっかかるものが私にあったが、皆は
私が来た時のように“おんなだー!”と騒ぎ出した。



はあとため息をつく横ではシャチが鼻息荒く同じように叫んでいた。


エルーザさんは長い金髪を右耳に掛けながらにっこりとほほ笑んだ。


「しばらくお世話になります。
ローとは同じ国で育ちました。何十年かぶりに会いましたが
こんなに仲間が増えて私としても嬉しい限りです」

「おい」


ローがエルーザさんを小突いた。


「フフ、いいじゃないの。
残忍と言う噂を聞いていたけれど、ローは変わってないわね」




ズキ




あれ、何だこれ。
胸の違和感を感じて私は首を傾げながら胸を押さえた。


挨拶もそぞろにローは私を呼びつけエルーザさんを部屋に案内するように指示した。

「エルーザさん、ここが貴方の部屋です。」

もとは客室用だった部屋だったので片付けは手間取らなかった。
しかし男ばかりの海賊団だ、男臭い所や片付けたりないところもあったので
シャチに指示しながら二人でせっせと掃除した。

エルーザさんはありがとうと告げて荷物を置き私に向き直った。
「ショーさんと言ったかしら・・・」
「え、はい」
ニコニコと笑うエルーザさん。
彼女の笑顔は独特だ。
端整の取れた綺麗な顔で笑うものだから、クルーたちもイチコロなのだけれど
女の勘というのだろうか、すこし違和感があるような感覚を覚えた。

「死の救急救命士・・・
賞金は一億ベリーですって?
新聞で見ましたわ


「それは・・・ははは・・・
自分でもびっくりです」


頭に手を置きながら苦笑いをする私にエルーザさんは口元に手を置きながら

「本当、すごいですわね。
さぞアチラの方もお強いのでは?」

「はははは・・・・・・


え??」

彼女が何を言っているのかわからず私は固まってしまった。

「あら、おとぼけになるの?
能力者とは言え、女が海賊船に乗っているということは夜の相手もするということでしょう?
それともただの戦闘員としてとしか思われてないのかしら」

エルーザさんが何を言っているのかわからない。
いや、理解はできるのだけれど彼女の綺麗な顔からそんな言葉を聞くなんて思ってなかったので
驚きすぎて私は口を開いたままその場に立ち尽くしてしまった。
エルーザさんは私の態度を見て眉をハの字にして困った顔をした。



「―――成程。
嗚呼みなさん可哀想。相当溜まっていらっしゃるに違いない」

「・・・・溜まる??」

一体何がだ。

「居候の身とは言え
お役に立たなくてはいつ海に放り出されてもおかしくありません」



この人は一体・・・。




「ふう、
疎いショーさんにストレートに申しましょう。」



あまりにもぽかんとしている私を見かねてエルーザさんはやれやれと両手を空に浮かせた。


「私はあのお店でも働いていましたが

元は娼婦です。」



「?!」



「だから皆さんの夜のお相手も致します。

もちろん、ローも」


エルーザさんはフフ、と悪気のない笑顔で私を見つめた。


動揺しすぎて心臓が跳ね上がってドクドク言っている。
自分の能力さえ疑うほど動揺しすぎて脈拍がおかしい。
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