本編 ★deAd ENd★(中編)

□chapter1
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――――強者たちがひとつなぎの大秘宝を目指す、大航海時代。
ここはグランドライン後半の海、新世界。

何が起こってもおかしくないこのグランドラインのある島に、不思議な術を使う占い師が居た。




「悪い。」
「わ、悪いって、、、」
「めっちゃアカンってことや。」
カップルが不安そうに目の前にいる、黒いベールを被った占い師の次の言葉を伺う。顔はよくわからないが、布の下からチラチラ見える口元はまだ若々しく、女にしては少し低めの力強い声が、彼女の言葉に自信を持たせていた。
不安気な二人を省みず、ビシリと男に細長い指を向ける。

「浮気しとる。

あんたらはもう長ぉない」

一瞬にして青ざめる彼氏。
「いや、な、そんなわけないだろ!!」
明らかに動揺している。
「浮気しとる。金髪の髪の長い奴や、巨乳のな。お前の背後に生霊が見える」

「金髪の女って、、、まさか!!
親友のシンシアじゃ、、、!!!」
冷や汗の止まらない彼氏に彼女は食ってかかる。
やれやれ、またこれか。
お金として稼げるのはいいが、結局人の幸せを踏みにじってる感じがしてならない。
占い師と銘打ってみたものの自分には合わなかったな、と今更後悔するも遅い。
だがすでに"よく当たる占い師"としてこの島中に知れ渡ってしまったため辞めようにも辞めきれない。

こんな性にもあわない稼業など、あと数刻の辛抱。
すぐ門が開いて"帰れる"。
しかしアレは本当誤算だったな・・・。




占い師はベールを深くかぶり直し、鑑定料を懐に突っ込んで立ち上がった。ケンカしているカップルに一瞥をくべて、
「今日は終わりや。気が乗らん」
後ろで待ってた行列から驚きの声があがる。
せっかく待ってたのに!などというクレームも気にせずに彼女は片付けを始めると、ふいに空が暗くなった気がした。

見上げると彼女の身長の二倍はある大男たちが数人、ニヤニヤと近づいてきていた。
腰には剣、片手に銃といった物騒なものを見せつけてくる。
その容姿は明らかに賊。彼女の中の正義がピリリとその場に緊張感を走らせた。

「翔をといったな。
お前の占いはよく当たるそうじゃないか。」
「ここは俺たちの縄張りだ。ショバ代は貰わないとなぁあ??」
バアン!と翔と呼ばれた占い師の座っていた椅子や机を叩き壊した。
カップルや行列に並んでいた人々は大通りを叫びながら逃げまどい始める。
だが翔はその場から微動だにしなかった。
「あーあ、商売道具壊れちゃったぜー?これじゃあ占いできねえなあ。
ギャハハハ!」
耳に触る笑い声に一瞬翔の右手がピクリと動いた。


「占い師さん、悪いことは言わねえ
大人しくしとけ。
彼奴らは島を牛耳るギャングだ。
逆らうと殺されるぞっ」
後ろの野次馬がコソコソと教えてくれた。


「アンタらが壊したんは水晶なんかやない。ただのガラスや。」



「「ええええええ?!´д` ;」」




後ろの野次馬が目を見開いて驚いているのを気にせずに翔は話を続けた。


「私が見たんは、魂。
水晶も何もいらん。」


目元が隠れて彼女の表情はよくわからないが、ベールの中から凄まじい気圧が生まれて辺りの空気が重くなっていく。
「ぐっ・・・」
その威圧感からイライラする賊たち。
「くそっ何者だテメエは!」
「イライラさせやがって、ぶっ殺す!!」



バンッ!

バンッ!




放たれた弾丸が彼女の胸元飛び込んだ、かと思いきや今までいた場所に彼女はいなかった。
「なっ・・・・」

呆気に取られている男たちがキョロキョロしていると、屋根の上から声が降ってきた。
「やれやれ、面倒は起こしたくなかったんやが、、、この世界も今日で最後。
丁度飽きとったところや。

相手したる。」



ベールの下から薄く赤い唇がゆっくりと釣りあがった。



ふざけるなという男達の声とともに再び何発もの銃声が大通りに鳴り響く。
だか彼女は目にも止まらない早さでよけて行く。

「さて、この体でどこまで出せるか、、、」

「何ほざいてやがる!
全員で取り押さえろ!!」
おう !と、今度は剣を振りかざし彼女目掛けて襲いかかってきた。



物怖じせずに片手を前に出す。





「君臨者よ
血肉の仮面・万象・羽搏き・ヒトの名を冠す者よ
焦熱と争乱
海隔て逆巻き南へと歩を進めよ
破道の三十一 」




「赤火砲!!!!」





ドゴォオオ!!


悲鳴と共にぶっ飛ぶ男たち、と周りの店先数十件。
「やばい、義骸(ギガイ)やと力の加減わからんもんやな、、、」
両手ジンジンする。思った以上に威力が出てしまい、周りの店も破壊してしまった。

「あ」

はっと気づくと目をまん丸にした野次馬たちと、怒りを露わにした店主たち。

やばい。
冷や汗が顎を伝っていくのがわかった。



「あ、あははは!
お騒がせしましったー!!
、、、、じゃっ!!」





地面を一蹴りすると、忽然と翔は居なくなってしまった。
ポカンとその場所を見つめていた人々だったが、はっと気付いて各々叫びだした。

「、、、おいおいおい!
なんだ今の?!」
「能力者か??!!」
「いやそれより、店弁償してくれよー!!!」




そして大通りを見渡せる高級ホテルの窓より、始終を見物していた男がいた。
彼女が忽然と消えたため慌てる人々を見ながら、

男は掠れた声で笑出だした。



「面白れえ、、、
丁度退屈してところだ。」


そう言って長刀をカチャリと鳴らし、
彼女の行動を目で追っていた。
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