本編 ★deAd ENd★(中編)

□chapter2
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それは記憶なのか、はたまた夢の断片でしかないのか、それすら分からない子供の頃のやり取り。




”トラちゃん、あーそーぼー!”

”・・・うるせぇ、おれはいそがしいんだ”


”トラちゃんのあほー!
いいもん、ペンちゃんとあそぶもん!!”


”オイまて。
だれがほかのやつとあそべといった??”

”・・・だってトラちゃんあそんでくれないんだもん。”



”・・・なにがしたい?”


”んとねー、
かくれんぼ!”


”またか、ふたりでしても
おもしろくないだろ”


”いいの!

だって、トラちゃん、

ちゃんとわたしのこと、みつけてくれるもんっ”


”・・・クッ、なんだそれ”
”えへへ!”












「ハァ・・・ハァハアッ」

息切れが酷い。

翔はこめかみから顎に伝う汗を手の甲で拭った。
「何やねん、この世界の住人はっ。
邪魔ばっかしおって・・・!」

すでに陽は地平線に沈み、目的地は目の前にあった。

だが行く手を阻むのは何百人の海軍。
灯台の真後ろにはでっかい海軍の船が止まっていた。
”なんちゅうところに開門しようとしとるんや、乱菊さんはっ!!”
聳え立つ大きな船を翔は睨んだ。



”この島は表向きは海軍の駐屯地。
裏では昼間輩ってきたギャングが支配する両面をもつ島。
海軍がいることに安心しとった・・・。

迂闊に暴れた私がアホやったな・・・”

昼間の騒ぎを聞きつけた海軍が翔を捕えに来ていた。
最初は事情聴取、と名売って3,4人の海兵が翔の行く手を阻んだ。
陽が暮れ始めたせいで内心焦っていた翔はその海兵を蹴散らした。

気が付けば海兵はだんだん増えていき、一人では捌ききれないぐらいの人数になっていた。


「ハァッ・・・・次から次へと・・・・。」

翔は向かいくる海兵たちに両手を翳す。



「血肉の仮面・万象・羽搏き・ヒトの名を冠す者よ


蒼火の壁に双蓮を刻む


大火の淵を遠天にて待つ



破道の七十三 「双蓮蒼火墜」!!!!」



悲鳴とともに何十もの海兵が吹っ飛ぶ。
だが前よりも力が弱くなってきており、倒せる海兵の数も減ってきてしまっている。

”このままでは、、、、”
翔は首を横に振った。



”帰らなければ・・・・。
私には使命がある。

死してなお、

私の力を必要としてとる

尸魂界の為に


死神として・・・・!”




「ここで、倒れるわけにはいかんのや!!!!」



「お〜〜や〜〜〜?
手こずっているようだねぇ〜〜?」


語尾が間延びして翔はずっこけそうになった。
声が聞こえたのは大きな船の甲板から。
海兵たちがすぐさま見上げ、敬礼をした。
「「申し訳ありません!大将!!!」」
びっくりするほど息の合った答えに翔は苦笑いをする。


「これはぁ〜
わっしの出番では〜ないか〜?」



間の抜けた言葉とは裏腹に、中年の男から発せられる霊圧は、今まで相手をしていた海兵とは桁が違っている。
「しがない占い師と〜聞いていたがぁ、
ただものじゃぁないようだねぇ〜?」



”っ先手必勝!
破道は、これが限界・・・!!”


翔は一気に息を吸い込んだ。




「散在する獣の骨

尖塔・紅晶・鋼鉄の車輪

動けば風 止まれば空

槍打つ音色が虚城に満ちる

破道の六十三 「雷吼炮」!!!!」



大将と呼ばれたパンチパーマのサングラスに電撃を打つ。
直撃したハズ、だった。

「オォオォ、面白いねェ。
占い師なだけにぃ、妖術みたいなのを使うんだネェ〜」

だが電撃は何事もなかったかのように大将の体に吸い込まれていった。

「なっ・・・?!」

”昼間の変な男といい、
この世界は一体全体どないなっとんや・・・!!”


冷静に考える隙も与えられず、左肩に突き抜ける痛みが走った。
大将から放たれた、一筋の光の刃。

「く・・・っ
しばくっ!!!」



左肩をかばいながら、スルリと刀を抜く。




月明かりに照らされて、
刀剣が怪しく光る。













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黄猿がキター
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