本編 ★deAd ENd★(中編)

□chapter3
1ページ/4ページ

「キャプテン、どういうことですか。」



ローが鬱陶しそうに本から目をペンギンに移す。
「何だ、体が自由になった開口一番それか。」

翔の霊力がショックのせいで弱まったことで這縄はいつのまにか解けていた。

「あいつは危険です。
クルーに危害を加えすぎだ。」
険しい目つきでローを見つめる。
ローはそれに気にも留めず、本に目を戻した。
「それに、貴方のあいつに言った言葉。
まるでこの船に乗せるような言い方だった。」


「・・・・何が悪い。」

視界の端でペンギンの腕がワナワナと震えるのが見えた。
「貴方の決めたことに俺たちは反論はしない。
だがわかって欲しい。
彼女の心臓を取ってまで乗せる必要があるのかどうか、皆疑問に思っています。」

「強い奴を乗せて何が悪い。
あいつは異世界から来たという。
それにもう、死んでいるそうだ。
自分を死神だと。」


そう言ったローは帽子をつかみながら肩を震わせた。
「ククッ・・・奇妙、だが興味が湧いた。
この先の新世界で勝ち残るにはああいう飛び抜けた奴が必要だ。」





「それだけじゃないでしょう。」



ペンギンの言葉に、一気に部屋が肌寒くなった。
ローは俯きながら、ペンギンに鋭い目線だけを向けた。
「・・・どういうことだ。」
ローのベットに横たわる翔を見ながらペンギンは生唾を飲んで続けた。

「翔は、"似ている。"





貴方も気づいたでしょう?



だから彼女を乗せた。」




「それはお前の見解だろう。
俺は強い者は・・・・」
「図星でしょう。」
ローの言葉に間髪いれずにペンギンが口を挟む。
が、すぐに両手をあげた。
「まぁ、どっちでもいいですけどね。


貴方が決めたことだ。

こいつの心臓を取ったのも、俺たちの為でもあるんでしょう。

従いますよ。」

帽子とツナギの襟元からニッとペンギンは歯を見せた。

「チッ・・・お前は矛盾している。
従うと言っているが、今までの言動は全くもってそう思えない。」


気のせいです、とペンギンは笑った。

「でも、これもわかってください。
貴方の気持ちもわかること。」



そう言ってペンギンは一瞥し、仕事があるからと部屋を出た。



ローは扉のしまる音を聞きながら、また分厚い本に目をやった。
文字を追うものの、頭に全然入ってこない。


「チッ・・・・」


舌打ちが静かな部屋に響いた。
次へ

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ