本編 ★deAd ENd★(中編)

□chapter6
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「・・・・」


「何だ翔、そのふてくされた顔は?」
ペンギンが翔の肩を面白そうに叩いた。
それを睨みを利かせて肩をあげてペンギンの手を振り払った。
「なんでもないわっ」
”・・・結局義骸に戻ってきてしまった。”
あのまま逃げれたのに翔はどうにもそれができなかった。
自分でも理解しがたい行動であったため、周りに構わず不機嫌なオーラを出していた。
”ちゃっかりまたアイツに心臓奪われるしな。。
踏んだり蹴ったりや”




翔が意識を取り戻すと、皆は安堵の表情を見せ、祝いだと謎の盛り上がりを見せて酒場に連れてこられた。


「意識を失っとったんやで?
もう少し気を使ってや」
「んなこといったって、お前ちゃっかりグラス持ってるじゃないかっ」
にやにやと顔をゆがめるシャチ。
「結局私関係なく飲みたいだけやろ。」
「・・・ばれたか。」
「ばらすなよ!」


「寂しくなったか。」


隣でロックグラスを煽るローがふいに口を開いた。
横を向いてむっと翔は口をつぐんだ。
「寂しなったわけちゃうわ!」
「じゃあ何故逃げなかった?」
逃げなかった、という言葉に翔はドキとした。
ローは翔が肉体ではない何かに入っていることを薄々感づいているようだった。
「逃げれなかった、というわけではないだろう?」

翔がローを余計に睨むあまり、あたりの空気が一瞬について重いものになった。


「まあまあまあ!!」
ベポがもこもこの両手を二人に向けながら
「翔の意識が戻ったんだっ。
それでいいじゃないキャプテン。」
それでもローは腑に落ちないようで、帽子の下の目はなお鋭かった。



「見慣れないいい男がいるじゃない」


機嫌の悪いローと翔とは裏腹に、わいわいと飲んでいると、胸元を強調させたいかにもセクシーな女性が声をかけてきた。
後ろには取り巻きが2人。その彼女たちも引けを取らず美しかった。
「うおぉ、たまんねえ」
隣ですかさず前かがみになったシャチの腕を翔ははしたないと肘で小突いた。

「よかったら私たちと遊ばない?」
まるで翔は眼中にないといった様子で、中央にいた女はローに近づき、後ろからローの肩にてを這わせた。
「イチャつくなら外でやってくれへん?
酒がまずなるわ」
翔はロックグラスのウィスキーをぐいと煽った。
のどが熱くなるその感覚は、酒好きの翔にとっていつもは心地の良いものなのにその時は益々いら立ちを加速させるものになった。


「あら、ものわかりがいいのね」

女はローの首に両腕を纏わりつかせた。
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