本編 ★deAd ENd★(中編)

□chapter6
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だが、その綺麗な娼婦であろう女性の手を目を見ずに払った。

それを見ていたクルーは少し驚いた表情をした。
まあまあ、と少し鼻を伸ばしたシャチが割って入った。

「キャプテンはそういう気分じゃないみたいだ。
よかったら俺・・・ブッ!」
すかさず飛んできた女性からの鉄拳にシャチの言葉は遮られた。
そうして、「何よ!」と叫んで店の外へとツカツカ出て行ってしまった。

「いいんですか、キャプテン。上玉でしたよ。
いつものキャプテンなら行くと思ってました。」

”いつもって何や、いつもって”
少しイラつきながらも翔は酒をあおる。





そうこうしているうちに夜はどんどん過ぎていいき、一人、また一人とその場に附していく。


「まったく、
あんたのクルー、もうちょっとマシな奴おらんのか。」
「あんまりクルーの悪口言うと
お前でもただじゃおかねえぞ。」
その言葉に翔は目を丸くした。

「・・・へえ。
冷徹で鬼畜かと思ってたけど、

あんたにも仲間思いの所あるんやね。」

「悪いか。」

「いや、

共に志す仲間はおってナンボや。」

翔は口を釣り上げてまたグラスを口にもっていった。

それをローは静かに見つめていた。


「・・・何や、そんな見つめて。
気色悪い。」




「お前、この店来てから飲みっぱなしだが一向に潰れねえな。」


「せや、酒強いのが取り柄やからな。」


「あまり強いと男ウケしねえぞ。」

「何やそれ。」
翔はケタケタと笑った。

”・・・何て、言うとるけど、
ぶっちゃけ会話聞き取るのに精一杯なんやけどな。”

少しクラクラする頭をフル回転させながら、ローに悟られまいとグラスに手をかける。

が、ローの手がゆっくりと翔のグラスの持つ手を握った。


酔っている所為か、冷たいローの手は心地よく、そして妙に優しく触れられた気がした。



「医者なめんなよ。
お前が酔ってることぐらいすぐわかる。」

ローは席を立ちあがって、コートを羽織った。
「・・・隣の宿とってある。
行くぞ。」


「え、行くぞ・・・って。
こいつらどないすんの?」



「放っておけ。
・・・・と、言いたい所だが
そういうとお前が煩そうだ。」

「なっ・・・」



「”ROOM・・・・”」


重低音と共に薄い膜が張ったかと思うと、クルーたちは忽然と消えてしまった。


眩暈のする頭でなぜかと考えても一向に答えが浮かんでこない。

「行くぞ」

そう言って差しのべられたローの手を、翔はすんなりと掴んでしまっていた。







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ROOM便利。
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