小説

□自分の気持ち
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「んっ…あっ…」
たまたまだった。
エレンがリヴァイの部屋を通りかかった時、乱れた声がした。
思わず、立ち止まり、部屋に聞き耳を立て、覗き込む。
いけない事だとわかっている。
覗いている事がバレたら、どんな痛い目をみることか。
でも、頭ではわかっていても、エレンはその場を動くことはできなかった。
リヴァイが、頬を紅潮させ、己のそそり立ったものを扱いていたから。
普段の潔癖性の彼からは想像もできないほど乱れた姿。
荒い呼吸をして、喘ぐリヴァイの姿に、エレンはゴクリと喉を鳴らした。
男が自虐する姿に興奮している。
いや、違う。これは相手が兵長だからだ。
いつの間にか硬くなった自分のものに手を伸ばす。
「くっ……あっ…」
「ああっ」
リヴァイの絶頂と共に、エレンも己の欲望を吐き出した。
熱い吐息をしながら、汚れた手を見つめる。
「何やってんだ?俺…」
覗いて抜くなんて…。
少し自己嫌悪に陥りながら、急いでその場を離れようとした。
「デバガメとはいい趣味だな。エレンよ」
部屋の中から声をかけられ、エレンの動きが止まる。
ばれている。
いつから?
冷や汗が、エレンの背を伝う。
「入ってこいよ」
リヴァイの言葉に、しかし、エレンの足は動かない。
この手についた白いモノを見られたら、何をしていたかなんて、弁解の余地もない。
「エレン」
さらに低い声で名を呼ばれる。
イライラしているのがわかる。
これ以上、上司の機嫌を損ねては、何をされるかわからない。
肋骨の二、三本は覚悟して、エレンは部屋の中へと足を踏み入れた。
部屋にはいると気だるそうなリヴァイの姿が視界に入る。
いつもキッチリ着込まれた衣服が、今日は少し乱れ、白い肌を覗かせる。
その姿は妖艶で、15歳の少年には、十分すぎるほどの色香を放つ。
「俺の見て、イったのか?」
手についたモノに気付いたリヴァイが、エレンに問いかけた。
「はい、イキました…」
隠していても、バレる。
ならハッキリ認めて、殴ってもらった方がマシだ。
エレンは返事をした後、ぎゅっと瞳を瞑る。
「ほう…」
カツカツと、リヴァイが近付いて来るのがわかる。
カツ、と、リヴァイはエレンの前で立ち止まる。
いつ殴られてもいいように、歯を食いしばった。
しかし、いつまで経っても、拳がとんで来ることはない。
そーっと、恐るおそる、エレンは瞳を開けた。
自分を見上げる、グレーの瞳と視線がぶつかった。
その、リヴァイから発せられた言葉はとても意外なものだった。
「エレン、俺を抱きたいか?」
言われたエレンはパチクリと、目を瞬かせた。
リヴァイがどう言うつもりで言ったのかわからない。
選択を間違えれば、地獄をみるだろう。
いや、結果なんてわからない。
なら、後悔しない方を選ぶだけだ。
エレンはゴクリと唾を飲み込んだ。
「兵長を、抱きたいです」
言った。
言ってしまった。
後悔はもちろんしていないが、自分がどうなるか恐怖はある。
でも、言葉に偽りがないことを認めてもらうために、エレンはリヴァイの瞳をまっすぐに見つめた。
そんなエレンを無表情で見つめていたリヴァイだったが、やがて口角を上げる。
「なら、抱かせてやる。俺も一人でヤるのは少し飽きていた」
言うと、リヴァイは身をかがめる。
エレンの今達したばかりのモノを取り出すと、ためらう事なく口に含んだ。
「あっ、兵長。なにす…あぁっ」
こんなことをされたのは初めてだ。
じゅっと、音をたてて、陰茎の裏を舐められ、亀頭を吸われる。
気持ちよすぎて、おかしくなりそうだ。
そして、その快楽を自分に与えているのが他ならぬ、リヴァイだ。
尊敬と憧れを抱いていた上官が、自分のモノを咥えている。
興奮も混ざって、エレンはまた絶頂へと、上り詰める。
エレンは、リヴァイの口の中に吐き出した。
「ん…んぅ」
恍惚とした表情で放心するエレンと対象的に、苦悶した表情を浮かべるリヴァイ。
「チッ、イクならイクって、ちゃんと言え」
口の端から垂れる白いものを、リヴァイは乱暴に拭う。
「汚ねぇな」
その様子を見たエレンは真っ青になる。
「まさか兵長、俺の…」
「あぁ?飲んだ」
「きゃー。吐き出して下さい。いますぐっ。すいません、俺、気持ち良くて…」
なんてことをしてしまったんだろう。
上官の口の中に吐き出した上に、更に呑み込ませるなど。
「うるせぇな」
オロオロするエレンをリヴァイは突き飛ばし、床に寝かせるとその上に馬乗りになった。
「兵長?なにするつもりですか?」
「うるせぇ。少し黙れ」
エレンの質問には答えず、リヴァイはエレンのモノを己の後ろにあてがうと、ゆっくり腰を沈めていく。
「ん…はぁ」
苦悶の表情で、でも沈めるのをやめない。熱い吐息を零す。
「あっ、ああっ」
一方、のみこまれているエレンだって痛い。
リヴァイの中は熱く、とても狭い。
だが、リヴァイの唾液が潤滑油となって、ヌプ、ヌプ、グチュ、っと卑猥な音をたてながら、エレンの根元まで収まった。
「動くぞ」
リヴァイは腰を上下に動かす。
「あっ…ああっ」
腰を動かす度に、リヴァイから甘い喘ぎが漏れる。
感じてくれている?
リヴァイが自分のもので感じる姿を見て興奮する。
エレンのものが、一層硬く、大きくなる。
「ぃ…あぁっ」
それをリヴァイも中で感じて、嬌声をあげる。
もう我慢できなかった。
エレンは己の腹筋を駆使して起き上がると、今度はリヴァイを床に敷く。
リヴァイの足を高く掲げ、肩に乗せた。
「気持ち良く、しますから」
言って、エレンは深く貫いた。
「いっ、ああぁあああっ」
何度も何度も、角度を変えながら、突き上げる。
そして、明らかにリヴァイの反応が違う箇所を探し当てるとそこばかりを責めた。
リヴァイの中から余裕がなくなっていくのがわかる。
「エレンっ、あっ、そこばかり…、責めるなっ、あぁ」
「どうして?兵長、気持ちいいでしょ?」
リヴァイの前で勃起しているものにも手で触れる。
上下に扱いて、前も後ろもグチャグチャだ。
「あ、エレンっ、エレン」
壊れたように名を呼ぶリヴァイ。
締まりのない唇からヨダレを流し、潤んだ瞳でエレンを煽る。
「兵長っ、リヴァイさんっ」
その濡れた唇に、口付ける。
拙いながらも、舌を滑り込ませれば、リヴァイは受け入れてくれた。
そのリヴァイの手が、エレンの首と頭にしがみついて、離さない。
愛おしいとはこのことなのだろうか。
自分で感じているリヴァイが、可愛くて仕方が無い。
もっと気持ち良くさせたい。
声を聞きたい。
名前を呼んで。
つながっていたい。
「リヴァイさん、リヴァイさん」
エレンもまた壊れたように名前を読んで、腰を動かす。
「アッ…イクっーっ」
リヴァイは首を仰け反らして、白いものをぶちまけた。
そして、より一層中で締め付けられた、エレンもまた、リヴァイの中に吐き出した。
「はぁ」
名残惜しいけど、このままにはしておけない。
エレンが中から引き抜くと、コポリと、肛門から白いものが溢れでる。
エレンが、リヴァイを穢した証だ。
「テメェ、中に出しやがったな」
チッと舌打ちするリヴァイ。
「すいません。でも、気持ちよかったでしょ?」
悪びれもせずしれっというエレンに、リヴァイは舌打ちした。
あんな姿を見せた後では、怒ったところで迫力もないらしい。
「後始末が面倒なんだよ」
「あ!おれがやります」
「ついてくんな」
「だって、傷とかついてたら大変じゃないですか。俺が確かめます」
浴室に向かうリヴァイを追いかけながら、エレンも一緒に向かう。
身体を繋げたのは間違いだったかもしれない。
少しウンザリした表情でエレンを見上げるリヴァイ。
その視線に気付いたエレンはニコリと微笑む。
その笑顔に、ドキッとリヴァイの心臓が跳ねた。
エレンを誘ったのは、ほんの暇つぶし。
性欲処理のため。
でも、悪くないと思う。
他の者には手も触れたくないのに、エレンを感じたいと思ったのはどうしてか。

自分の気持ちに、リヴァイが気付くのは、もう少し先のお話。


終わり。

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