小説

□DEAD OR ALIVE(R-18)
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「俺、あの男とは、ホントに面識がなくて…」
エレンが目を覚ますといつの間にかリヴァイの部屋のベッドに寝かされていた。
身体も綺麗になっていたし、服も着替えてある。
しかし、身体に残る気だるさと、手首に出来た擦り傷が、あれは夢ではないのだと、エレンに教えていた。
エレンはベッドに自主正座をして、机の上で書類整理をしているリヴァイに話しかけていた。
「言い訳はいい」
しかし、当のリヴァイは書類から目を離すことなく、エレンと視線を合わそうとしてくれない。
俺はもう、捨てられるんだろうか。
監視があるから側にはおいてくれるだろうか。
何故あんな場所で寝てしまったのか。
そもそもどうして自分がこんな目に合わなければならないのか。
エレンの中に色々な感情が入り混じり、涙がでてくる。
嫌だ。こんなことで、兵長の側にいられなくなるなんて。
「ごめんなさい。兵長!捨てないでくださいっ!」
沈黙にいたたまれなくなり、エレンは土下座をしながら叫んだ。
額を床にこすりつけていると、リヴァイのため息が聞こえた。
コツコツと近付く足音が聞こえ、目の前で止まる。
顔をあげると目の前にリヴァイがいた。
リヴァイはしゃがみこんで、エレンと視線をあわせる。
「エレン。次はねぇ。他の男に触らせるなよ」
「はい!」
「二人きりになるのも駄目だ」
「はい!」
「毎日俺にキスしろ」
「はい!」
「ようし、いい子だ」
言いながら、リヴァイはエレンの頭を撫でた。
エレンは嬉しそうに目を細める。
エレンはまたリヴァイの優しい瞳が見れて、心が満たされていた。
「エレン、約束だ。キスしろ」
「ええ!?」
「今返事をしたばかりだろう」
そういえば、さっきなんか最後にちょっと違うことを言われた気がする。
「できないのか?」
そう言うリヴァイは少しニヤリと笑う。
「やる!やります!約束、したんですから」
ここで出来ないと言ったら、先程の約束が守れないということだ。
エレンは深呼吸して、リヴァイに向き合う。
「目、閉じてくださいね」
「あぁ」
チュッと軽いリップ音を立てて唇が触れると、身体を離した。
「これだけか?」
「約束っ、果たしたんだから信じてくださいね」
耳まで真っ赤なエレン。
「もっとすげぇことしてんのに、いまだにキスで赤くなるんだな」
「あ、あれとこれとは、別物です」
実は、エレンの方から行動を起こしたのは初めてだったりする。
まぁ、いいか。
リヴァイも上機嫌になって、再び書類整理を始めた。
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