小説

□躾
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すごいな。
エレンは、リヴァイのモノを咥えながら、思った。
苦悶の表情を浮かべ、眉を寄せて、でも声をあげることはないリヴァイ。
先端から先走りがほんのり滲んでいるのをみれば、感じてはいるのだろう。
それでも、快楽に流されず、理性を保つ姿はいっそ憐れで。
どうせなら、気持ち良くなっちゃえばいいのに。
身を委ねてくれない、なかなか堕ちないリヴァイに、もどかしさと、少しの苛立ちが、エレンにこみ上げる。
ずぶ。
エレンは指を後ろの隠部へためらうことなく突っ込んだ。
「いっ…てめっ、何処に突っ込んでやがる」
「何処って、尻の穴ですけど」
「抜け」
「それ、本気で言ってます?ここまできて、俺、途中でやめませんよ」
グリグリと、中を指で刺激すれば、ピクンとリヴァイの身体が跳ねる。
ここか。
一点を集中して責めれば、リヴァイの言葉とは裏腹に、エレンの指を離すまいと締めつける。
「あぁ、それとも兵長は、指じゃなくて、俺のが欲しいんですか?
こんなに、俺の指を咥えこんでますもんね」
エレンがリヴァイの耳元で囁けば、彼はちっと舌打ちする。
気にせず、指を増やしてバラバラに動かせば、リヴァイにも余裕がなくなっていく。
自分の指の動きひとつひとつに反応するリヴァイが愛しい。
口付けをしたいけど、きっとまた噛まれるから。
指を抜いて硬くなった己のモノを、リヴァイにあてがう。
「ちょっと痛いかもしれませんけど、俺、我慢出来ないんで」
優しく微笑みながら言って、手でリヴァイの口を塞ぐ。
悲鳴を聞きたくなかったからか、拒絶をされるのが、嫌だったからか、わからないけれど。
ミチミチっと音が聞こえる。
熱くて狭い。責めるエレンだって痛い。
でも、早く奥まで突きたくて、一気におしすすめた。
「ーーーーー………っ」
リヴァイは声にならない悲鳴をあげる。
口を手で封じられて、その目は大きく見開き、涙がこぼれ落ちた。
全部納めてから、エレンは口を塞いでいた手を離す。
「全部入ってますよ。わかりますか?」
「テメェ、殺す」
「リヴァイさんに殺されるなら、いつでもこの首を差し出しますよ」
言って、エレンは腰を動かし始めた。
リヴァイは唇を噛んで、声を抑える。
あぁ、やっぱり聞くことはできないのか。
「唇、傷になっちゃいますよ」
優しく言いながら、リヴァイの唇を指でなぞる。
可哀想な兵長。
俺なんかに惚れられたせいで、手首を拘束されて、後ろを責められて。
「おい、エレンよ。…テメェ、どうしてこんなことをする?
おれが…、嫌いだったか?」
「まさか。どうしてそんなことを思うんですか」
「ならいい。…んっ、優しく、するな」
リヴァイの言葉に、思わずピタリと動きを止める。
「何故ですか?」
「この行為に、愛があると、勘違いしてしまうだろう。
溜まってるのを吐き出したいだけならさっさとやれ」
このリヴァイの言葉にエレンは頭を殴られたような衝撃を受けた。
愛しているから、欲しいのに。
ふっと、何故か笑みがこぼれる。
兵長が、そう思っているならそれでいいのかもしれない。
もうすぐ巨人は駆逐される。そうなれば、俺も駆逐対象者だ。
俺を殺すことを、ためらわないで欲しい。
俺の命を背負わせたくない。
「…そうですね」
言って、また腰の動きを再開した。
相変わらず、リヴァイは声をだすことはない。
さすがだな。
エレンは、自分だけ絶頂を迎えると、リヴァイの中に全てを注ぎ込む。
言葉の代わりに、愛を込めて。


おしまい
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