頂きもの

□兵長(あなた)には敵わない by黒猫
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顎で指されたそこは
すっかりテントを張って、どう足掻いても隠しようがない。

「これは…」

って言うか、兵長が刺激したからこんなことになったわけで…
いやでも、そもそもは兵長の体を見て…
俺って男が好きなのか?
いや、けど、訓練生の時、同期の奴らの体なんて腐るほど見てきたし…一緒にシャワー浴びたり、それこそ裸の付き合いだったけど、こんなこと一度だってなかった。
そうだ、俺は男が好きなんじゃない。

「リヴァイ兵長だから、です。」

そうだ。
初めて俺の前に立った時から
あの背中を見たときから
憧れと羨望の存在だった。
一瞬で心を奪われた。
人類最強の兵士。

「俺、リヴァイ兵長のことが…」

憧れ
尊敬
いつのまにかそれを越えて

「好きなんです。」

そうだ。俺、リヴァイ兵長のことが好きだ。
ヤバイよな。
こんなこと言って。
兵長は潔癖症だって言ってた。
きっと…気持ち悪がられる。
こんな風に話しかけてくれなく…

「で?」

「え…?」

軽率な自分の本能と言葉に凹んだ俺に
兵長はいつもと変わらない冷静な顔で訊いてきた。
疑問系なのはわかるけど
何しろ言葉が短すぎてその内容がわからない。

パチクリと兵長の顔を見つめていたら
兵長が小さく舌打ちする。

怒らせたかと思うと
張り詰めていた下半身が萎えてしまいそうになる。

「あの、兵長…」

とりあえず、訊かれてる内容ぐらい理解しないと、とおそるおそる言葉をかければ

「てめぇは俺に突っ込みてぇのか?突っ込まれてぇのか?」

表情も変えずにとんでもない言葉を返された。
ってか
突っ込む?
突っ込まれる?

って…

えぇぇぇぇぇっ!

俺が、兵長に…突っ込む…
兵長の服を剥いで
その引き締まった体に唇を寄せて
俺の下で兵長が…

『エレ…ン…』

なんて悩ましい顔で、声で…

ゴクリ

唾を飲み込んで、再び下肢に熱が集まるのを感じた。
今度はさっきよりずっと強烈に。
でも、そんなこと言ったら、俺、殺されるかも…

突っ込まれたい、と言った方が良いんだろうか。
いや、っつーか、上司として尊敬してます、とか、適当に取り繕った方が…

「さっさと答えろ、このグズ野郎!」

イライラした口調で叫ばれて

「突っ込みたいですっ!」

思いっきり、本音で答えてしまった。

(あー…終わった。)

殺される…いや、俺は大事な実験体だろうから殺しはしないだろうけど…もう終わった…。
監視役も変わるかもしれない。
そばにいられないかもしれない。

好きだと気づいた直後に失恋とか…

(最悪…)

「良いぜ。突っ込ませてやる。」

垂れた頭がガバッと上がった。
マジマジと兵長の顔を見つめたけれど
冗談を言ってる顔じゃない…って言うか、冗談でこんなことを言う人じゃ…

「ほんとに…良いんですか…?」

「ああ、構わん。だがな…」

俺の足の間に兵長の膝がグリッと押し付けられ
顔が
近づく。

(うわぁ…もう…)

思わずその背に腕を回して引き寄せようとした瞬間
リヴァイ兵長がニヤリと笑った。

「いきなり人の体見てところ構わず発情するような自制心のない駄犬には躾が必要だな、エレン。」

「しつけ…?」

「たっぷりしつけてやる。」
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