ハボロイ
□歩みと繋いだ手
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そこを誰かはわからないが明らかに目の前の男とは違う人から手を引っ張られた。
手を引っ張られながらどれくらい長い間走ったのだろう…?
いつの間にか公園のベンチに座らされている。
そう言えば、さっきからコイツは一言も喋っていないな…
誰なのだろう…?
顔を上げてみる。
街灯の光で相手の顔が見えた。
そこには、自分のよく知る人物がいた。
私の部下
ジャン・ハボック少尉…
その顔は酷く怒っていた。
「一人でうろうろして、どういうつもりなんスか!?発火布も付けないないじゃないッスか!何であんな男と、あんな所に入ろうとしてたんですか!?」
「…ハボック…。もう…全てが嫌だったんだ…。」
「…全て…?」
「私は沢山の人を殺した。その罪を抱えて生きていくのが辛い…。…いっそ死ぬことが出来たらどんなに楽だろうな…」
「そんな…そんな!死ねたらなんて言わないで下さいよ!俺、バカだから、まともな事言えないッスけど、大佐の話、聞くくらいは出来ます!!……あんたはね、強いけど、とても弱い…。」
「ッ!!!」
「…もう二度とあんな事しないで下さいね…?…でないと、あんたの事、本当に好きなヤツが可哀想だ…」
そう言いながらハボックは私の手を取り、再び歩みだす…
今度はゆっくり…
優しく握ってくれた君…
ゆっくり私の歩幅に合わせて歩んでくれる君…
ハボック、いつも君は優しい。
私はもう、自分の気持ちに気づいているんだ…
ハボックの気持ちにも気づいている。
でも、まだ人を愛する事は出来ない。
怖いんだ…
だけどいつか、もう大丈夫と言える日が来たら、私から言うから…