夢庭園 ─成り代わり主編─(黒執事)
□Story 2
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近付けば近付くほど不気味な装飾が目立つ店だ、と思った。
ドア周りの壁には蜘蛛の巣が張っている上、ヒビも入っていた。
ドアの左側には墓石が置いてあり、右側には棺桶や卒塔婆が立て掛けられていた。
そして、看板には[Under taker]と彫られてあり、飾りの髑髏が目を引いた。
中は外と似たような内装だった。
奥のカウンターには誰もいない。
棺桶がいくつか床に置いてあるけれど、立て掛けてあるものもあった。
上にはニンニクがぶら下がっていた。
しばらく中を色々見ていると、
「小生の店に何か用かな?」
『!』
急に聞こえた声に驚いて振り返ると、一人の男性がカウンターに寄りかかっていた。
(……さっきまで誰もいなかったはずなのに……)
『……えっと……』
何から話すべきか考えていると、
「……何を話せばいいか分からない、そんな顔をしてるね」
『……』
……何故分かった。
「そうだねぇ……じゃあ、小生からいくつか質問させてもらってもいいかい?」
『え、あ、はい……』
話を振ってくれた。
これなら聞かれたことに答えるだけだし、大丈夫だろう。
「まず一つ目。君の名前は?」
『……フランドール・スカーレット。フランって呼ばれてたわ。……貴方は?』
「小生かい?小生は葬儀屋(アンダーテイカー)。葬儀屋をしているよ」
『……ああ、だから棺桶とかあったのね』
「二つ目。君はどこから来たんだい?」
『幻想郷よ』
「幻想郷……?聞いたことないねぇ……」
『でしょうね。人には分からない場所にあるから』
「君は変わった場所にいたんだね……それじゃあ、これで最後にしようか。三つ目……」
『…………?』
急にどうしたのだろうか。
葬儀屋は黙り込んでしまった。
『……あの、』
「…………君は一体何者だい?」
『っ、』
「……見た所は人だ。けれど、魂はそう見えない。」
……魂、か。
まるで死神のような言い方だ。
『………私は人じゃない。吸血鬼よ』
「おや……やっぱりそうだったのかい」
『そういう貴方も……人ではないようね。さっきの物言い、まるで……』
死神みたいよ。