桜ノ散ル前ニ

□1*落ちた先はホグワーツ
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ポスンッ

間抜けな着地音がして恐る恐る目を開いた。

さっき強い光を見たせいで目がチカチカして周りがよく見えない。

なんだか周りがざわざわしてる。

「いきなり人が…」

「どっから現れた?

てか落ちてこなかったか?」

「見慣れない服を着てる…」

「私知ってる!あれ、和服と言うものよ!」

うるさいなぁ…ようやく目が慣れてきた。

周りを見渡すと…

前にはローブを着た人たち…。

『うわぁ…夢か』

確かに私はハリポタの世界に行きたいと思いあの魔術をした。

だけどちょっとはこんな結界如きで…異世界──本の中へ行けるのかと疑っていたのだ。

だから私がここにいることにかなり驚いている。

私の記憶が正しければここはホグワーツの大広間。

きっと振り返れば

『教師だよねー』

観たことある方々が…うん。

みなさんそんな怖い顔しないで…うぅっ。

すると白髭のおじいちゃんが近付いてきた。

「君は…どちら様かの?」

ダンブルドア先生だ…。

そっか…まだ生きてる…。

『ダンブルドア…』

そう口にすると生きてることが嬉しくて涙が出てきた。

『ダンブルドア先生ぃ…ぐすっ

うぇ…ひっく…』

「どうしたのじゃ?」

私だったらいきなり現れた人間が自分の名前知ってて尚且つ泣き始めたら怪しむけどね!

さすがダンブルドア先生!優しい!

「離れた方がよろしいですぞ

この娘は侵入者…

何を企んでいるか…」

そうそう、この人みたいな対応が普通だよね。

そう思いながら声のする方を見ると…

『スネイプ先生ぇ〜!!』

私はその人に駆け寄ってそして…

ぎゅー!!

抱きついた。

「な、何をするか馬鹿者!!!」

「「「っ!!??」」」

大広間が一気にどよめいた。

『ひっく…スネイプ先生〜…会いたかったよ〜…ぐすっ』

「我輩は貴様など知らん!!!

っ…離れぬか!!!」

『嫌です〜!!

意地でも離しません!!』

めっちゃ睨まれてるけど全然怖くなんかないもんね!

「セブルス…知り合いかの?」

「こんな小娘…知りませ…っ

貴様いい加減離れぬか…くっ…」

大広間にいる生徒がざわざわとしている。

「あいつスネイプ先生に抱きついたぞ…」

「スネイプ先生の恋人?にしては若すぎるよ…」

「スリザリン寮生以外にスネイプを好きな奴とかいるんだな」

それは勿論スネイプ先生にも聞こえているわけで…

「勝手に憶測を語るな!

全寮5点減点!!!」

よほど頭にきてるのかスリザリンからも減点した。

減点されてもお構いなしに騒ぐ生徒、唖然と傍観している教師達。

そんな騒々しい中私はスネイプ先生を抱きしめる力を強めて

「私が守りますから…

例えこの先何があっても…」

そう小声でつぶやいた。

その声がスネイプ先生へと聞こえたのかはわからない。

けどスネイプ先生の手は一瞬だけ私の抱きついている腕を解こうとする力を緩めた。

「みな静粛に──

名はなんというのじゃ?」

『かんな桜ノ宮です…』

私はスネイプ先生に抱きついたまま答えた。

『そうか…

かんな…わしについて来なさい

他の者は入学の宴じゃ』

パンッ

ダンブルドア先生が手を叩くと…

テーブルには豪華な料理が並べられた。

生徒達はすっかり料理に夢中になっていた。

私は渋々スネイプ先生から離れ

「まったく…やっと離れたか…」

とローブを払うスネイプ先生に文句を言う時間もなくスタスタと先を歩いて行ってしまったダンブルドア先生の後を追いかけた。
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