Severus Snape
□涙の後に
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貴方が隣からいなくなって数十年…。
もうすぐ私も写真の中の貴方の歳に追い付いてしまう…あの日からそれほどの月日が経った。
写真の貴方はどれも顰めっ面ばかりで…見る度に
『もっと ニコッ って笑えないの?』
と呟いてしまう。
その都度彼は フンッ っと鼻を鳴らして更に怪訝そうな顔をするのだった。
写真の中の貴方の時はそこで止まっている。
私が見るのは貴方と出会った頃の写真だけ。
写真は真実しか写さない。
学生と教授の関係では無くなった頃からの写真は怖くて見れないのだ。
…私が気持ちを伝え付き合い始めてからすぐに貴方がいなくなってしまった。
本当は嫌っていたかもしれない。
情けで私と付き合っていたのかもしれない。
とにかく不安なのだ。
本人に確かめたくても貴方はもうこの世にはいなくて…。
そんな不安をずるずるとこんな歳になるまで引きずってしまった。
亡くなった人をずーっと愛して…愛して…それを貴方…セブに伝えたら
「くだらない」
とか言って鼻で笑うかしら?
そんなことを考えていたらポタリ…ポタリと涙がアルバムに落ちてしまった。
いくら写真とはいえ、貴方の前では明るく振る舞おうと心に決めていたのに。
貴方が亡くなったと知らせを受けたとき、私は直ぐ様貴方の元へ行き冷たくなってしまった貴方の体を揺すって何回も名前を呼んで…
それでも目を開けない貴方にすがり付いて沢山鳴いたの。
セブの前で泣いたのはそれが初めてだった。
つまりセブは私の泣き顔を見たことがない。
セブに泣き顔は見せないように…
と今まで我慢していたのに…。
そう思うとセブとの沢山の思い出が甦り涙がとめどなく溢れた。