東巻2

□面倒くさい男
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 リアクション、か。
 俺は、早速、携帯を弄る。
 巻島の携帯番号は―――と。
 俺が思い付いた事は、いつもの様に巻島に電話を掛ける事だった。
 日本とイギリスの時差は9時間だから、今、イギリスは夜か。






「はい、巻島」
 巻島は、俺の呼び出しに面倒くさそうに応じる。
「巻ちゃん!」
 俺は、堰を切る様に巻島の名を呼ぶ。
「と、東堂!?」
 巻島は、俺からの突然の電話に驚いている様だった。
「直接会うのは、今は無理かも知れねぇけど電話やメールは出来るだろ。 だから、掛けた」
「まぁ……そりゃあな」
「じゃあ、毎日電話するよ、巻ちゃん」
「毎日って」
 巻島は、呆れた様に。
「巻ちゃん、俺、言おうと思っていた事があるんだ」
「何だよ、尽八」
「俺、巻ちゃんの事―――」
 そこへ、巻島の兄が入って来た。
「ユウスケ、メシ食うぞ」
「またな、尽八」
「まっ、待って」
 そこで、プッと通話が切れた。
 だけど、また電話しても良い事が判って、俺は安堵する。





 巻ちゃん、イギリスでは元気にやっているか!?
 お兄さん、優しそうな人で良かったよ。
 巻ちゃん、またお前に会いたいよ。
 今度会えるのはいつ!?
 会いたいよ、巻ちゃん。
 巻ちゃん。






〈了〉
(20160220)
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