短編

□Unchanging oath
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「ちょっとまって、綱吉傷の手当てもしてないの?」


「来るものみんな拒むんだ。傷口は浅いがあのまま行くと、ツナ死ぬぞ?」


雲雀はそれを聞いて足早に寝室へと向かった。

リボーンはそんな雲雀に向かって「死ぬなよ」と一言つぶやき、沢田を任せ、部屋を後にした。






雲雀はノックも無しに寝室のドアを開けた。

目に飛び込んで来たのは執務室並みに荒れ果てている光景だった。

そして微かに香る、血のにおい。


「綱吉?」


辺りを見回すと、ベッドの向こう側に琥珀色の髪の毛が見えた。


「綱吉。」


ゆっくりと近付くと、沢田はピクリと反応して、小さく呟いた。


「こないで…」


その声は弱々しく、憔悴しきっていた。


「こないで、雲雀さん」


「………、いったいどうしたんだい?」


少し距離を置いて、足を止める。
そこから沢田の姿は見えていて、白いシャツは寄れてシワになっていて、至る所に血がついていた。
それを見た雲雀は眉を寄せた。


「……雲雀さんには、関係無いですよ…。コレは…俺の問題、俺の責任なんですから…。」


「とりあえず、手当てが先だ。話は手当てしながら聞いてあげる。」


そう言って近づこうとすると、沢田はいきなり立ち上がり後ずさる。


「だめ…駄目!」


「綱吉?」


「……っ」


「!綱吉っ」


いきなり立ち眩み、後ろの壁にもたれる沢田に駆け寄ると、腕からまだおびただしい量の血が出血していた。
急いで止血、応急処置をしようとすると、沢田はなおも抵抗する。


「やだ、駄目…離して雲雀さん!………っ!」


雲雀はそんな暴れる沢田を抱きしめて止め、落ち着かせるように背中をさする。


「少し黙りなよ、それとも君、死ぬ気かい?」


腕の中で強張る体を優しくさすると、弱々しい声がした。


「だ…め、おれに…優しくしちゃだめだ…。」


「なぜ?」


「失うのが、こわ、い、から」


「綱吉、」


腕を解放して、沢田の顔を見ると、その琥珀の瞳からは、涙が溢れていた。


「…綱吉、応急処置だけでもしよう。」


もう、大丈夫だろう。そう思った雲雀は、沢田をその場に座らせ、腕の切り傷にガーゼと包帯を巻いた。



 
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