短編
□Unchanging oath
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「どうして、こんな事したんだい?君がこんな馬鹿な事するなんて思ってもみなかった。」
雲雀は両腕に包帯を巻き終えると、視線を沢田に戻して、そっと語りかける。
沢田はそんな雲雀の顔を見ずに、包帯が巻かれた自分の手首を見ながら話し始めた。
「…お、れの、せいなんです。…俺は、ファミリーのみんなを守りたいと、思いました。自分を守ってくれるみんなを、守りたいと思ったのに…、彼らが死んでしまう理由は、結局俺なんです。」
ファミリーはボスを守るためにいる。
故に沢田は、自分を守ってくれるファミリーを守りたいと思った。
それが自分が出来る精一杯の感謝だった。
「だから死のうと?」
「失うのが怖いなら…俺がいなくなれば、みんなを解放出来ると思って…。ボンゴレって言う柵から…。」
眉を寄せて、思い詰めたように語る沢田を、雲雀は再度抱きしめた。
「縛られてるのは、君だろう。ボンゴレという組織に縛られてるのは、ほかの誰でもない、君だ。」
「それは…」
「死ぬなんて事は許せないよ。」
「ひば…」
「次こんな事したら、許さない。そんなに死にたいなら僕の所においで、僕が殺してあげる。
だから、一人で死のうとなんてするな。」
微かに震えている雲雀の腕に気付いた沢田は、再度涙を流し、そっと雲雀の背中に腕を通した。
「ごめんな…さい。」
「本当だね…。」
「心配かけて、本当に、ごめんなさい…。」
「ねぇ、綱吉。失うのが怖いなら、誓ってあげる。」
雲雀は沢田の瞳に視線を戻し、見つめながら言う。
「僕は、死なないよ。僕は変わらずに、君のそばに居続ける。」
涙で濡れる瞼に一つキスをし、涙を拭う。
そして、沢田の瞳を真っ直ぐと見つめ、誓いをした。
「だから、綱吉も誓って…、君も死なないと、変わらずに、今もこの先の未来も僕のそばに居ると、誓って。」
「…っ」
「誓って、綱吉。」
沢田は黙って頷くと、嗚咽混じりに返事をした。
「…はい、はい…っ。誓います、雲雀さん…、だから、生きてそばに居続けて下さい…。俺はあなたを失いたくないんです…っ。」
「うん、」
「貴方は、変わらないでいて下さい…。」
「君の為なら、誓ってあげるよ…。」
そうして互いにキスをした。
この先未来への不変の誓いを…。
Unchanging oath
(君を、変わらせはしない。)
(君が望なら、僕は永遠に君のそばにいてあげる。)
ーendー
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