記念小説
□野球しようぜ!
1ページ/5ページ
ボンゴレボスに就任してからもう直ぐ一年、まさに死ぬほど大変な毎日を送っている。
休み?そんなもの無い。
あるのは毎日届けられる始末書やらの大量の書類。
風呂とかトイレとか、そういう事以外はずっと執務室に缶詰め状態だ。
今日も今日とて書類とにらめっこ。
未だに慣れない英語やイタリア語に苦戦しながらも、ひとつひとつ、地味に書類に目を通してサインをしていく。
野球しようぜ!
(疲れたー…)
やっと半分終わった頃、執務室にノックが響いた。
あの恐ろしい元専属家庭教師に教われた通りに、懐に手を忍ばせ、銃のトリガーに手をふれる。
ボンゴレの屋敷は警備は厳重だ。
しかし、もしもの事を考えて、と教え込まれた。
「あーはい、どうぞ、」
自然に、いつものように返事をすれば、ドアがガチャリと開いて、俺の良く知る青年が入ってきた。
「おーツナ!久しぶり!」
「や、山本!?」
黒いスーツを着た中学生時代からの親友の山本は、爽やかな笑顔で書類を片手にやってきた。
「…どうしてココに、今シーズンの真っ最中じゃないか。」
「ん?あーまーな、俺ってば大活躍♪」
「そうじゃなくて…」
ビックリだ。
まさか山本がこのイタリアまで来るとは思ってもみなかった。
山本にはマフィアとしての仕事よりも、野球選手としての仕事をなによりも優先させている。
マフィアなんかの為に、山本の夢を壊させたくないからだ。
本当はマフィアになんてならなくて良いと言ったが、山本はそれでも俺についてきてくれた。
それが凄く嬉しくて、そして罪悪感に捕らわれたのを今でも覚えてる。
しかしおかしい。
今はシーズン。山本も忙しいはず。
なのに何で書類片手にイタリア本部にご登場?
「あーこれか?これは坊主に頼まれた分のだ。」
「リボーンに!?」
「まあ時間が開いたときにやってたから時間はかかったな。」
「う…ごめんな、山本。」
リボーンめ、他の部下に頼めば良いものを、なんでこう多忙な山本に頼むかな…っ。
(リボーンの奴、後で覚えてろ…!)
「しっかし、よく抜けられて来れたね。ここまでそうとう時間かかるのに。」
「あーそこら辺は大丈夫だぜ、ツナ。監督俺の仕事知ってるし。」
「…は?え?」
ちょっと待て、今なんつった!?
仕事を知ってる?