長編

□そらにうたう
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空を知らない私たちは、




この先どうなるのですか…?




全てを、受け入れるしかないのですか…?





    誰か



   たすけて





そんな陳腐な願い、叶うはずがないのにね。






そらにうたう








「ぅああ…っ!いっ、痛っ!やだぁああっ!」


どこからか、また聴こえる悲痛な叫び声。
きっと、名前も顔も知らない汚い男達に辱めを受けているのだろう。
真っ白なベッドに横たわる少女は、無情にもそう思った。

ここは名も知れぬ研究所。
ここで、どこからか連れてこられた子供達が実験体として扱われている。
良いように扱われて、物好きな男達は、実験体に用意された子供の操にも手を出した。
実験だけでは飽きたらず、男女関係なく身体を貪られる日々。
いったい何の為に連れてこられたのか…。ここにいる子供達は、それすらも分からないであろう。

逃げようとしても逃げられない。
死ぬことさえも許されない。


――受け入れるしか無かった。
ここにいる子供達はそう思った。そう思えざる得なかった。

脚を開いて受け入れる。
それだけで良いのだ。と、毎日をそうして過ごして行くと、人間として壊れていく。
ここにいる子供達の大半は既に壊れかけていた。
無情に、非情に、そして従順に、
自由に生きるも死ぬも出来ないのなら…。

そういって皆汚れていく。


(―…私も、変わらないけど…。)


少女は、瞼を閉じ、ゆっくりと開いた。

その琥珀の瞳には、輝きが消えていた。



(――さぁ、また今日の始まりだ。)


少女はゆっくりと体を起こした。



 
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