短編
□Secret time
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彼は俺の名前を呼ばない、甘い愛の言葉も囁かない
それでも、そこに愛はある……――
Secret time
「……んぅっ、…ッ」
ギシ、と二人分の体重を乗せたベッドが軋む。
ここはどこだろうか。痺れて上手く働かない脳髄の隅でそんな事を思った。
辺りを見渡してもアンティークの一つも無い簡素な作りの部屋。
しかし、二人とってはそんな事はどうでも良かった。
今はこの行為に溺れてしまいたくて、快楽だけを求めて相手に縋る。
「む、くろ……っ」
首に腕を回してキスを強請る。
骸はそんな綱吉に目を細めて、唇に啄むだけのキスを贈る。角度を変えて何度も。
しかし綱吉はそれでは足りないと、自ら骸の唇に触れる。
頬を染め、ぺろりと唇を小さく舐め唇をうっすらと開けると、頭の後ろに腕が回ってきて、そのまま深く口付けられた。
「、ふ…っんぅ…っ」
歯列をなぞり、たどたどしく応える舌を甘く吸い上げればくぐもった声で甘く鳴く。
骸は唇を離し、荒く息をする綱吉の口端から垂れる、飲み込みきれずに溢れたどちらとも言えない唾液を舐めとった。
そしてそのまま首筋へ…。ちくり、首筋に痛みが走る。
「……っぁ、」
首筋、鎖骨、胸、至る所に散らすそれは深紅の華。
甘い痛みに綱吉はぞくりと躰を震わす。
骸はその小さく紡がれる嬌声に、吐息に、脳髄を犯されているような気分に陥り身震いした。
――どこまで自分を堕とす気か…。
否、自分は溺れているのだ。
骸は綱吉の下腹部に手を伸ばす。
触れたソレは服の上だというのに既に硬くそそり立っているのがわかった。綱吉は布の上から擦られれ、ひくりと震え、小さく声を漏らした。
「……や、…ッ」
羞恥に顔を真っ赤にさせる綱吉に、骸はくつりと笑い、手で触れていたソレを取り出し口付け、口に含んだ。
「ふぁ、ッ、…ぁあ…っ」
卑猥な水音が耳から脳髄を犯す。
下半身に強烈な痺れが襲い、指先にまで伝う甘い痺れに綱吉は眼をぎゅっと瞑って、シーツを掴み嬌声を漏らす。
「…だ、だ…めっ、むくろっ…も……ッんぅっ!」
ぞわぞわと腰付近に熱が集まって、耐えきれなくなり背中を逸らして絶頂する。
ぶるりと腰が震えて、自分のモノから精が溢れているのが分かった。あまりの羞恥に目を逸らすが、ぐるぐると頭の中が熱で回って、思考がおかしくなっていく。
綱吉は息を整えながら、ちらりと骸を見る。
骸は至極自然な動作で顔を近づけ、唇を奪う。
絶頂の余韻でくらくらする中、自らも応えようと舌を出す。骸は喉を鳴らして深く深く口付けた。