短編

□付き合って下さい!
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俺が恋したあの人は、並盛中の風紀委員長で、

みんなからは怖いとか、
最強とか言われてる人で、


俺なんかきっと眼中になんか無くて、


好きになって欲しいなんて陳腐な願いが叶うような相手じゃなかった…。



別に、俺はそれでも良かったんだよ。…あの時までは…――。




ここまで俺を揺るがせたのは、黒曜との戦いの時だったと思う。


あの時、雲雀さんは一人で戦いに行って…帰って来なかった。


それが、凄く不安で、辛くて、どうしようもなかった。


お兄さんが襲われた時も凄く心配した。けど、違うんだ。
それとは違ったんだ。



…本当に恋してるんだって実感しちゃって、凄く凄く苦しかった。


だから、俺のせいで襲われたって事を知らされた時、本当に悔しかった。


俺の、俺の大好きな人が目の前で傷つくのを見るのが嫌だった。
許せなかった。


俺をここまで強くしたのも、貴方なんですよ。雲雀さん…。



リング戦の時も貴方は戦ってくれた。


傷付いても戦ってくれた。


戦いが好きな貴方の事だから、リングとかそういうのは考えてなかったでしょうけど…。


でも俺は、本当に感謝してるんです。



何よりも、貴方の側にいたいから…。


だから俺は強くなる。


貴方の背中を見ているだけだと、いつか離れて行ってしまいそうで。

それが、無性に嫌だった。


だから強くなる。


強くなって、貴方に伝えたい。


気持ちを伝えるだけだけれど、

ダメツナの俺にとっては、それが精一杯な事なんだ…。




「何ぼさっとしてんだ。おい、ツナ。」


――ゴスッ


無意識に考えていたら、家庭教師様に跳び蹴りをくらった。
本当手加減ないんだからな、ったく!


「い〜〜って〜〜っ!な、なんだよリボーン!」


「リング戦も無事終わって、正式に次期ボスはお前に決定したんだ。
てな訳で守護者に挨拶してこい。」


「どんな訳だよソレ!しかも俺マフィアになんかならないぞ!」


「うるせー。さっさと行け。」


「わかった!わかったから銃向けんな!!」



でも、リボーンのこの一言は、思ってもみないチャンスだったのかもしれない。


それから俺は守護者を一人一人探して挨拶(?)をして回って。

最後の一人になった時には、既に夕暮れ時だった。


「最後の一人は…っと。」


雲の守護者、並盛中風紀委員長、


雲雀恭弥。



「こんな時間帯でも、あの人学校にいるのかな…?」


既に正門は閉まっていて、裏の職員用の門から入った。


目指す場所はただ一つ、


 ………応接室。



――貴方に想いを届けに。――



夕暮れ時の赤く染まった廊下進んで行く。


あった。応接室。


応接室の扉の前、
緊張で手にうっすら汗をかきながら、俺は、その扉をノックした。




 
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