短編
□呪いのリングに永遠の約束を
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俺は、
あなたが好きです…
呪いのリングに永遠の約束を
未来から帰ってきてすぐに、俺は一直線に向かった…。
貴方がいる、応接室へ…。
綱吉はバタバタと音を立てて廊下を走る。
(会いたい…雲雀さんに会いたい…っ)
綱吉の頭の中は雲雀の事で一杯だった。
今まで無自覚だったそれを自覚してしまってから、止まらなくなった。気持ちと同調して脚が勝手に応接室へと体を走らせたのだ。
以前のようなダメツナには、考えのつけようがない程の進化だ。
これもあの家庭教師のおかげかもな、と綱吉は後々そのように話していた。
―今まで無自覚だったものは、未来で気付かされた。
未来の雲雀恭弥に触れてから、少しずつだが、それが恋だと自覚しはじめた。
最初は戸惑ったりもしたが、一度自覚してしまったら、否定することも拒絶することも出来なかった。
だから、過去の世界に戻る時、綱吉は雲雀に『帰ったら雲雀さんに告白しようと思います』と宣言してきた。
雲雀は雲雀で『好きにすれば?』といつも通りの口調で返した。
しかし、そんなつんとしている雲雀の口元が、少しだけ緩んでいるのに気付いて、綱吉はこれ以上ない程の笑顔で喜んだ。
(好きです、貴方が好きです)
恋を自覚してからは、俺は男に…とか、本当は京子ちゃんが好きだったのにな…とか、最初はそんな事を考えていてたけれど、京子ちゃんはどうも憧れの人に変わっていってしまっていた。
自分も、周りをあんな風に幸せにできる人間になりたいと。
いつしかそう思っていた。
そんな事を思っていたら、いつの間にか目的地についていた。
綱吉は脚を止める。
目の前には、応接室の扉。
綱吉は、ノックをして入っていった。