短編

□kiss me quick
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ねぇ、キスしてよ






kiss me quick










「はい?」





この人の言うことは、いつも唐突だ…―







 今日も俺はいつも通りにテストで赤点を取ってしまって、補習授業を受けていると、それはもう突然雲雀さんが教室までやってきた。


「あ、雲雀さん…」


突然やって来た雲雀さんに、もちろん教師は恐怖により顔が真っ青で、他に補習を受けに来た人も、みんな冷や汗をかいている。

やっぱ雲雀さんってすげー…、とか思っていると、雲雀さんが俺の目の前にやって来て、ねえ、と話しかけてきた。


「は、はい…っ」


驚いて声が裏返ってしまった。

だって、だってよ?
あの並盛最強の不良な風紀委員長様が、ダメツナな俺に話しかけてきたんだよ?


(俺殺されるー!?)


「ひ…雲雀さん、俺に何か用でも?」


ここまでくると、もう体が震えてくる。
怖い怖い怖い怖い怖い怖い、めっちゃ怖い!
俺何かした?何やらかした俺!


「ねぇ、沢田綱吉」


「は、ははははい!!」


「僕にキスしてよ。」


「は…」


「ねぇ、してよ」



え?


え!?


「うえええええええ!!!!!!!?」


(キスーーーー!!!!?)


「な、なな、何言ってんですかっ、キスだなんてそんな俺男だし雲雀さんにキスなんて死んでもできな…ぶへっ」


頼むからいきなり叩かないでよ雲雀さん!
痛い、いやリアルに痛い!
頭がぐわんぐわんする。
何で俺ってこんなんばっかなんだ…!


「ウルサいな、良いからしなよ。それとも今ここで咬み殺してもいいんだけど…」


そう言って取り出したのは雲雀さんご愛用のトンファー。


―俺、全身の血の気が引いた気がする…

そんでもってまるで走馬灯のように、過去の記憶が蘇った。
産まれてからの記憶が、鮮明に…。

ああ、あのときもダメダメだったんだなー俺。
あの時も、ああ、あの日もそうだったなー。
てか俺、ロクな人生送ってねーなー…。

あははは…


はは…


は…





まだ死にたくない!




でも雲雀さんとキスとか…、しかも周り人いるし…。



どーする、俺



 
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