短編

□Unchanging oath
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部屋は嵐でも来たのかと疑うぐらい荒れ果てていた。


部屋のカーテンは全て引き裂かれ、デスクも、ソファも、全てが壊れていた。
床はガラスが割れた破片や、書類などが散らばり、まさに悲惨な状態だった。



「来たか、」


足元に視線を送れば、そこには黒いスーツを来ている小さな子供がいた。


「やぁ赤ん坊、コレは一体どう言うこと?」


その小さな子供…リボーンは、もう赤ん坊じゃねぇ、と言った後に続けて言う。


「…ツナが壊れた。」


「ワォ、これ彼一人で暴れて出来たものなの?
僕はてっきり嵐でも来たのかとおもったよ。」


雲雀はリボーンの言葉にそう返すと、リボーンは、ひとつ溜め息をついて指で部屋の奥を指し示す。
指さされた場所は、部屋のまた奥の部屋のドア。
そこは沢田の寝室になっていて、彼が絶対の信頼を得たものでなければ入れない部屋だ。


「ツナは今寝室で休んでる。ここまで暴れた理由は…まあ大体予想はつく、…が、今ツナは完全にショートしてやがる。
誰一人として近づかせねーんだ。」


「誰一人?」


そう聞き返すと、


「そう、誰一人としてだ。」


リボーンは頷きながら答えた。


はぁ、と雲雀はひとつ溜め息をついた。
何をそこまで拒絶しているのか分からないからだ。


「…それで、なんで僕なの?」


「雲雀なら死なねえ程度で済むと思ってな。」


見ろ、とリボーンは長年愛用している銃を取り出した。
しかし銃口は溶けて変な方向に曲がっていて、最早使いものにならないであろう形に変形していた。


「暴れてまくるツナを止めに入ったらこれだ。
俺は銃一本で済んだが、」


リボーンは寝室の扉に視線を流し、少し眉を寄せて言った。


「…ツナがヤバい。」


「は?」


「ツナの奴、あれだけ暴れた挙げ句、最後は狂って『俺が死んだら、何か変わるかな…』とかほざいて自傷行為をし始めたんだ。
で、止めようとしたらグローブで銃をぐにゃり、ってな。俺すら拒絶するとは良い度胸だ。」


鼻で笑っているが、結局リボーンも心配しているのだ。
昔は生徒として、今は上司として長年付き合ってきた仲、こんな事は一度もなかったからである。


「で、雲雀にはツナの手当てをして貰おうと思ってな。デスクワークほっといて勝手に死なれるのは困るしな。」


そう言って雲雀に救急箱を渡した。




 
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