短編

□カントリーロード
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とある空港に、スーツを纏った複数の人間が降り立った。
その中でも割と小柄な、しかし精悍な顔付きの男性が、周りの人間を引き連れて靴を鳴らしながら足を進める。
そして外の用意された黒塗りのベンツに乗った瞬間顔を綻ばした。



「ああ、懐かしの日本!」







カントリーロード









ああ、懐かしい。
この道も昔と比べて結構変わったけど、雰囲気はそのままだ。
昔の記憶が鮮明に思い出される。
まだ俺がマフィアのボスとしてではなく生きていたあの頃…。


「おい、昔の思い出に浸ってるとこ悪いが、一旦降りるぞ。」


助手席から聞こえるまだ幼げな声、それはこの10年俺の家庭教師兼専属ヒットマンのリボーンだ。

(ちょっとは空気読めよなー)

俺はその言葉に車のミラーを覗けば、後ろから一台の車。
先程からつけてきている車だ。


「ここに来てまで刺客…。」


本当やってらんねえ…。
ここには俺の大好きなあの人がいるのに。

車は急遽変更して路地裏に入り、人気の無い所で止まった。


こちらが止まれば向こうも止まる。
俺はリボーンと共にゆっくりと車から出て、相手に気づかれないように、銃のトリガーに触れた。

はじめに俺の部下がその車に向かって行く。
車のフロントガラスをノックして、中にいる人間はそれに応えたのか、ゆっくりとドアを開いて出てきた。
しかし、その瞬間…ーー


ーーダァンッ!


甲高い銃声が響いた。


部下は上手く避け、右腕をかすれただけの軽傷で済んだようだ。
(流石俺の部下だ。)
こちらも応戦する、まあ相手は少人数。
戦力的にはこちらが有利、わざわざグローブを使わなくても大丈夫そうな相手だ。
俺も銃を構える。
言っとくが俺の銃の腕前はピカイチだ。
何せ家庭教師様にみっちりとしごかれたからな。


「…ちっ、てめぇら殺っちまえ!」


相手の男が言うと、マシンガンやライフルを持った男共が後部座席から出てきた。


「うげ、んな所でそんなもん振り回したりしたら…!」


男共は叫びながら銃を乱射し始めた。


「お前ら退け!避けろ!」


部下に命じて、俺とリボーンも物陰に隠れる。


 
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