短編

□カントリーロード
2ページ/4ページ



やっぱりこうなっちゃったよ…。

俺がため息をついたその瞬間、カァンと車の後部に銃弾が貫通して、黒塗りのベンツが爆破した。


「…リボーンどうしよう。」


移動手段の車無くなっちゃったよ、と話し掛ければ、リボーンは帽子をくいっと上げてニヒルに笑った。


「こりゃ殺るしかねぇだろ。」


「ちょ、それだけは止めろって!」


マフィアのボスになって既に5年は経つ。
もう目の前で人が死んでいくのを見るのも日常的な程だ。
だが、だからこそ人の命を簡単に奪うことは今でも嫌っているんだ。


「なんだ、まだそんなこと言ってんのかボス」


リボーンはそう言って銃弾飛び交う中に飛んで行った。


「ちょっ!まって!」


リボーン、と言おうとしたその時、ガシャアンと一際大きな破壊音がした。

それに驚いて、俺も物陰から出てみると、相手の車が見事に潰れていた。
一体何が起きたのか、未だにメキメキとなる車の上部を見れば、そこには真っ黒なスーツを纏った見知った人がいた。


「雲雀さんっ!?」


「やあ綱吉、遅いから来ちゃった。」


この涼しげに微笑するの人、もとい雲雀恭弥は、ボンゴレの雲の守護者で俺の恋人。
かっこ良くて、強くて、インテリで、綺麗で(え?のろけ?気にすんな)、時々…というか大体がデンジャラスでバイオレンスな生活をしている最愛の人だ。


「良く、わかりましたね…場所。」


わざとらしく溜め息一つ。
メキメキと未だに鳴る原型を留めていない車から飛び降りると、手に持っている鉄製だと思われる武器、トンファーの端で俺の顎下を乗せ、顔を上げさせる。
これがまた格好いい顔をして。個人的に雲雀さんの微笑は悶絶並みに格好いいと思う。いや本当に。


「ここは僕のテリトリーだからね、君がいつどこで何をしてるかなんて手に取るように分かる。」


驚き半分、呆れ半分、しかしそんな雲雀さんになんだか慣れてしまった俺。
まあ好きだし、当たり前っちゃあ当たり前。
バイオレンスな彼も好きだしね。

久々の再会で今すぐにでも抱きついて彼の匂いと温もりを堪能したい所だが、やっぱりそう簡単にはいかないみたい。

雲雀さんの登場で驚愕して呆けていた男たちが我に帰り、銃をこちらに向けて酷い形相で叫ぶ。


「て、てめぇ何者だっ!?」


撃ち殺すぞ、と無言だがその酷い形相と殺気が物語っている。


 
次へ
前へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ