短編

□置き手紙
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 ちょっくら行方眩ますから

 捜さないでねー

      沢田綱吉





12月27日、ボンゴレ本邸にて、ドンボンゴレ 失踪…――








置き手紙







「何が“捜さないで”だあのダメツナぁ…!」


バンッと机を叩くのはボンゴレ専属のヒットマンのリボーン。
ボンゴレボスの寝室、机の上に一枚ぺらっと置いてあったメモ帳を見て、今ここにいないボスに激怒した。

こんな状況になったのには時は戻って10分前、何時までも起きてこないボスを起こしに寝室に行ってみれば蛻の殻。
替わりにあったのは机の上に置いてあった便箋に書き綴られた“捜さないでねー”というなんともフランクな置き手紙だけだった。…そして今に至る。

 ちっ、と舌打ちをしたのち、リボーンは直ちにイタリアにいる幹部や守護者を集結させた。
会議室でのボンゴレファミリーに課せられた任務。それは、


「沢田綱吉を捜して連れ戻せ、だ」

 
それを聞いた幹部、及び晴の守護者は首を捻り、嵐の守護者は「まさか10代目の身に何か!」と詰め寄り、偶々いて呼ばれた霧の守護者は溜め息をついた。


「率直に言えば、どうやらボスは逃亡したようだ。まだ仕事も大量にあるのに、だ」


バンッとどこからか出した大量の書類。グラグラと揺れているこの書類の数々は、年度末中に片付けなくてはいけないものばかりで、ボンゴレボス――沢田綱吉はこれを嫌って逃げたのではないのか…と、今この場にいる者の殆どが思っただろう。


「……で、僕達がボンゴレを捕まえてコレをやらせろ、と?」

「ああ、引きずってでも半殺しにしてでも連れてこい。――じゃないと俺達がコレをやる羽目になる」


ざわつく会議室の中、半殺しにしたら出来るもんも出来ないだろうに、と霧の守護者――六道骸は頗るめんどくさそうな顔で溜め息をついた。


「僕は降ろさせてもらいます」


呼ばれて早々に席を後にする骸。リボーンは、仕方ないと諦めたかのように一つ溜め息をつき、残る幹部と守護者に更に続けて言う。
 
「各ボンゴレ支部に連絡を入れ、早急にボスを見つけて連れ戻せ。見事ミッションを完遂すればそれ相応の報酬を出してやらんでもない」


以上解散、とリボーンの合図と同時に作業し始める幹部達と守護者。
無事沢田綱吉を見つけられるのか、いや見つけ出せても果たして連れ戻せるのか…。一筋縄にはいかないであろう行き先にリボーンは溜め息を漏らした。




 
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