短編
□You're precious man
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食堂に移動した後、リボーンや、なんと犬、千種、そして骸までとも合流した。
「勘違いしないでください。クロームが一度くらい祝ってやれと言うものですから、仕方なく来ただけです。君たちマフィアと馴れ合うつもりは毛頭ありませんから!まあ、おめでとうぐらい言っておきますよ沢田綱吉。」
呆けた顔をしている綱吉に、ノンブレスで言い放った後、骸はクロームに変わって消えた。
犬や千種はクロームの付き添いらしい。
「じゃーん、京子ちゃんとハルが作ってきました!バースデーケーキです!」
「おおっ!凄い!」
綺麗に出来上がっているチョコ生クリームのホールケーキ。
ろうそくは22歳分乗せられていた。
その後年に似合わず歌まで歌ってもらって、綱吉は赤面しながらも盛大に祝ってもらっていた。
「…さてと、そろそろ仕事に戻んないとな。」
プレゼントを大量に貰い、二時間ぐらいたっただろうか、綱吉は腕時計を見て溜め息をついた。
「もう時間ですか、残念です。」
「ごめん、よかったら今日は泊まっていってよ。夜なら時間あくだろうし。」
「泊まっちゃって良いんですか!?」
喜ぶハル達とは裏腹に、ごめんね、と綱吉は申し訳なさそうにそう言って獄寺達守護者を連れて各自の仕事に戻った。
(夜までに終わるかな、この量…)
執務室に戻ってみれば、先程より積み上がった書類。
仕方なく獄寺や山本の手を借りて夜までには終わらせた。
「――そういえば、雲雀さんがいませんね。」
夜、みんなと談笑したあと、ハル達の部屋を案内すべく邸内を歩いていると、隣のハルがポツリと言った。
綱吉は一瞬肩をピクリと動いたが、冷静を保ったまま答える。
「あの人は、こっちには来ないよ。」
守護者の中でもめったに来ない雲の守護者、雲雀恭弥を思い出し、綱吉は儚げに笑う。
その表情をみて京子やハルは眉を寄せた。
「それでも、恋人の誕生日ぐらいは会いに来てあげればいいのに…。」
「そうですよ、それにこれじゃあ付き合ってるって言えませんよ。ツナさんが可哀想すぎます。」
少し頬を膨らませて怒るハルに、困った表情の京子。
綱吉はそんな二人を見てから笑いをし、部屋のドアを開けた。
「じゃ、また明日ね。」
京子が笑って頷けば、ハルはまだ膨れ面をしながらお休みなさい、と言って部屋に入っていった。