短編

□サバイバルゼネレーション
1ページ/6ページ






そう、試練だ。
これも試練だと思えば良いんだ。
今年中にやる仕事も全て終わらせた。
大掃除もして部屋も片付けた。
ついでに遺書も書いた。
準備は整った。
覚悟も決まった。

さあ、レッツ サバイバル!






サバイバルゼネレーション








――同日深夜、静まり返った神社に二人の男がいた。
一人は長身の黒髪に黒のスーツを纏った、ボンゴレ雲の守護者 雲雀恭弥。
そしてもう片方は、黒髪の男に比べて頭一個分背が低く、色素の薄い茶髪にこれまた黒のスーツを纏った、ボンゴレ10代目ボス 沢田綱吉。


「――雲雀さん。こういっちゃあアレですが、自分の荷物ぐらい持ってくれません?」


綱吉は両手や両肩に背負った大量の荷物を背負いながら雲雀を睨んだ。
雲雀はつんとした表情で、目を合わせずに答える。


「ヤダね。それにもう目の前だろう。僕の荷物、地面に少しでも着けたら容赦なく殴るからね」

「……ひでー」

 
綱吉は二人分にしては重すぎる荷物、しかもなぜか大量にある雲雀の荷物を多少不思議に思いながらも、よろけないよう両足に力を入れ、ボンゴレ日本支部の地下施設に足を踏み入れた。


「いや本当に、あのあとマッハで書類終わらせて、直ぐに飛行機乗ってさー、ちょーっとぐらい持って下さいよ雲雀さん」

「嫌だと言った」

「雲雀さーん…」


再三の申し出にも耳を傾けない雲雀にうなだれていると、横からスッと手が伸びてきて、それはもう自然な動作で荷物をひょいと持ち上げられた。
その手のある方向へ振り向けば、そこにいたのは長年雲雀の元に仕えていると言っても過言でない、元風紀副委員長の草壁哲矢だった。


「私で良ければ持ちましょう」


リーゼントという見た目に似合わず紳士なこの男。綱吉はまさに天の助けだと目を輝かせて歓喜した。


「きゃー草壁さんありがとうございますっ。さすが常識ある人は違――ぃでっ!」

「咬み殺されたいの?」


最後まで言い終わる前に持ち前のトンファーで頭を殴られた。脳内まで響く痛みに、涙目で睨んだら、据わった目で睨み返され、綱吉は調子に乗りすぎたと肩を縮こまらせた。


「……失言でした…」


ボスの威厳も感じさせない何とも情けない姿だ、と自分自身で痛感した綱吉だった。




 
次へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ