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□リバな跡宍
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跡部と宍戸が付き合い始めたのは、高等部に入った後だ。
とはいってもその関係は、友情が少し行き過ぎた程度のものなのだが。
お互いへの執着はあるけど、恋とか愛と言い切れる程でもない。
それでも子供らしい興味本意でキスをすれば、お互いの自慰を見せ合うようになったし、その後には相手の手や口を使いぺニスを刺激しあうこともすぐに覚えた。
それで結局はたいした恋情の自覚もないままに、跡部と宍戸はセックスまで経験してしまった。
ところで男性同士の性交は所謂タチとネコの役割分担があるのだが、その頃の二人は、実にその年の青年らしく興味の赴くまま、お互いを攻めたり受けたりを繰り返した。
その役割分担だが、大抵がベッドの上での会話で決まる。

「今日はどっちにすんだ、宍戸」
「んー、俺はどっちかっつーとヤりたい気分。跡部入れさして」
「チッ、構わねえが俺様は準備してねえぞ?」
「はあ?シャワーん時済ましとけよ」
「そう言うテメエは、準備したのか?」
「ん、したぜ?一応な。けどやりてえの、今日は」
「あーん?待てるのかよ。テエメもう、そんなじゃねーの」

跡部が既に変化を見せ始めている宍戸のぺニスに指をかけ、ゆっくり上下に撫で回す。

「ンッ・・・気持ち、いい。っはあ、仕方ねえな。なら跡部が攻めんのな」

宍戸は仕方ねえなと、ベッドに俯せた。

「あーん?仕方がねえだと?この俺様に抱かれて、仕方がねえなんてほざくのはテメエだけだぜ」
「ナニ?俺以外とも、こういうことしちゃうわけ?お前」
「テメエだけだ。・・・満足か?」
「ああ満足だぜ?あの跡部景吾に抱かれるのも、抱くのも、俺だけだと思うと気分がいい」

恋愛感情も曖昧なまま、ジャンケンやビリヤードの勝敗なんていう罪の無い無邪気さで、上か下を決めていたその頃の二人の関係は、まさに行きすぎた友情、それだったのだろう。
案の定大学に入り跡部がイギリスに帰った事を機に、疎遠となった二人は曖昧なままその幼い関係を終えた。


*****


数年の間を開けて跡部に再び出会った宍戸は、自分の気持ちに少しの違和感を感じながらも、またゲームでもするかの様にベッドに誘った。

「宍戸。もう俺はお前とゲームみてえなセックスはしねえ」
「なんでだよ?・・・結婚とかすんの、跡部」
「いや、そうじゃねえ」
「ふーん仕方ねえか」

腹立たしい程にあっさりと話を切り上げようとする宍戸に、跡部は苛立ちを見せる。

「おい勝手に終わらせんな」
「何怒ってんだよ。やらねえんだろ?もう俺とは」
「違う。ゲームみてえなセックスはしねえと言ったんだ。次に俺がテメエを抱く時は宍戸・・・テメエが本気で俺のもんになると決めた時だ」
「良く分かんねーよ、跡部の言ってること。それって前とどう違うんだ?」
「全く違う」

やけに真剣な表情の跡部を直視出来ずに、思わず視線を反らせる宍戸。

「目を反らすんじゃねえよ宍戸。俺から目を反らすな」
「くっそ、んだよそれ。訳わかんねー」
「お前はそうやってまた誤魔化すのかよ。俺は御免だぜそんな中途半端な関係は、もう二度と。宍戸、俺はテメエを愛している」
「愛?」

宍戸は知らない言葉を教えられた子供みたいに、首を傾げる。

「そうだ。時間は掛かっちまったが、やっと分かった。俺のお前への感情は愛だ」
「なんでんな事言うんだよ。俺は今までのままがいい。お前を好きになっちまったら、終わるのが怖くなっちまうもん」

だからお前とは恋愛はしないと、背を向けた宍戸に「まてよ、宍戸」と、跡部の強い声が引き留める。

「逃げれると思っているのか?この俺からお前が。ならばやってみろ。俺は必ずお前を手に入れてやるぜ」
「勝手に言ってろ。俺は知らねえ」
「知らねえなんて、言わせねえ。いいか覚えておけ。次に俺がお前を手に入れたら、絶対に逃がしてなんてやらねえ。この先テメエを抱くのは俺だけだ」

勝手なことを言うなと怒鳴りつけようと振り返った宍戸の見たものは、酷く焦燥感の滲む目付きで焦れた様に自分を見つめる跡部景吾の姿だった。
こんな顔をされちまったら、逃げれねえ。
宍戸は諦めにも似た思いで、そう悟った。


【終わり】

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