The world of the basket 2nd season

□第49試合
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合宿所の1日は黄色かレオ姉の声で始まる。
本当はまだ起きる時間には早いんだけど、なんだかんだ皆、朝集まるようになってそれが習慣になってしまった。


その朝練にやってくるのはマネージャーのミカだけで、他のマネたちはまだ寝ている。
というのも、ミカが寝かせてやってくれと先輩たちに頼んでいたからだ。


もちろん、彩子先輩たちはその事にとっくの昔に気が付いていたけれど、せっかくの好意だからと時間まではゆっくりしている。


実渕「楓ちゃん、朝練行くわよ。」


今日はレオ姉の声で目が覚めた。
いつもなら寝起きの悪い俺は、殴りかかるのだが、この人の声はなんだか心地いい。


黄瀬「流川っちはな〜んでレオ姉だとすぐ起きるんスか?」


そんなことを黄瀬に聞かれたが、わざわざ聞くまでもなくコイツの声はウルサイ。
朝1番で「流川っちぃぃぃっ!!起きてくださいっス〜!今日も晴天っスよ〜!!」なんて聞いたら誰でも機嫌が悪くなる。


体を起こすと、今度は俺と黄瀬で巨人を起こす。
なぜ2人掛かりかと言うと、前に黄瀬が起こしても全然起きない時があって、耳でもひっぱたら起きると引っ張ってみると、巨人が大暴れしたからだ。
普段はのんびりしているくせに、怒り出すと手が付けられない。


今日も二人掛かりで巨体を起こして、準備をさせた。
最近思うのだが、実はこの巨人はちゃんと自分で起きているのではないだろうか。
ただ、俺と一緒で面倒くさがりなので、シャツを着替えさせたりしてくれる黄瀬に甘えているのではないのか…


紫原「流川ちん、おはよ〜。」


今日もまたのんびりとした朝の挨拶をしてくる。
まぁ、多分周りがコイツを許すのはこういうところなんだろうけど…


体育館に着くともう先輩たちは練習を始めていた。
この合宿のいいところはいつでも気軽にレベルの高い選手と1on1出来るところだ。


黄瀬「流川っち!1on1してくださいっス!」


仙道を誘おうと思ったのに、アイツはすでに沢北とやっている。
んでも、まぁ、黄瀬とやるのも悪くはない。


コイツの特技は他人の技を摸倣することが出来ることだ。
それも摸倣したうえで、それを上回ったプレーをする。
コイツが摸倣してくれるお陰で、自分の癖とかそういうのも分かったりする。


黄瀬とやっていると、ミカがやって来た。
いつもなら『おっはよ〜ございま〜す!』とか大声を出して入って来るのに、今日は無かった。
挨拶しなかった訳ではないだろうが、小さすぎて聞こえなかった。
それどころか今日はなにやら機嫌が悪い。


流川「…うっす。」


『はよ、楓。調子どう?』


やっぱり…いつもなら首を上げて、俺の顔を見ながら笑顔で言う言葉も今日はない。



流川「調子悪いか?」


『あ〜ちょっとね。でも、大丈夫だよ、ありがとう。』



こういう時のコイツの大丈夫だよほど当てにならないものはこの世にない。
とは言え、本人が大丈夫だと言う以上、休めと言ったところで休む奴じゃない。
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