魔人ブウ編
□第7話
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「なあ、悟宙」
「ん・・・なあに、トランクス君」
「・・・昨日はさ、俺が悪かったよ」
お前のオヤジさんを貶して、ごめん。トランクスは素直に謝罪の言葉を伝える。悟宙はきょとんとして彼の顔を見つめた。
昨日のアレからずっと、悟宙と二人はまともに会話していなかった。彼等が眠ろうとした時も、何処かへ行ってしまっていて会えなかった。
悟天すら会話していない。食事の時にやっと会うことができたのだ。
「・・・・・・うん。もう、いいよ」
「・・・なんか、姉ちゃん・・・眠い?」
「そっ、そんなことないよ」
御馳走様でした。丁寧に手を合わせて席を立って神殿の外へ一人でさっさと出て行ってしまう。
残された悟天とトランクスは顔を見合わせて首を傾げる。悟宙の様子がいつもと違うような気がする。
何処かぼんやりとしていて、少し疲れているようにも見える。そして、いつもは下ろしている髪が結ばれていた。
二人は食事が終わるとピッコロに許可を貰って神殿の外に飛び出し、悟宙を探し始めた。
「ねーちゃーんっ」
「おーい、悟宙ー・・・あっ」
「・・・寝てる」
「ああ・・・寝てるな」
悟宙はお気に入りの木に寄りかかったまま目を閉じて眠っていた。穏やかな寝息を立てている。
さっきまで結ばれていた髪は解かれ、風に靡いていた。トランクスは彼女を起こさないようにそっと近付いた。
顔の前で手を振っても目覚める気配はない。名前を呼んでも起きる様子はなかった。
「姉ちゃんは、何処まで見ていたのかな」
「さあな。・・・案外、全部かも」
「兄ちゃんの代わりに、ボクが守ってあげないと」
「・・・バーカ。お前じゃムリさ」
「むーっ・・・そんな言い方しなくてもいいじゃんっ」
「オレが、守ってやるよ・・・悟宙」
ませたことを言いながら、トランクスは悟宙を優しく抱き上げて自分の使っていた寝室まで運んだ。
悟天はその後を大人しく着いていくが、未だに言われたことを気にしているのか不満そうだ。
「二人で、守ればいいよ」
「とにかく、フュージョンを成功させないとな」
「それで・・・ボク達二人で、地球と姉ちゃんを守るんだ」
「ああ・・・そうだな」
穏やかな寝息を立ててすっかり眠りに落ちている悟宙を一瞥してから二人は寝室を出た。
悟宙が起きるのは昼頃だった。自分が眠ってしまったことにすら気付いていなかったのか、しばらくぼーっとしていた。
寝室を出ると、やることのないブルマ達はトランプをしていた。よほど暇らしい。
「起きただか、悟宙」
「お母さん・・・おはよう」
「おい、チビ達がいよいよフュージョンてのを試してみるらしいぜ」
「もう、やるんだ・・・ふわぁ〜あ」
眠い目を擦りながら、ぞろぞろと外へ出て行く皆に着いて行く。神殿から離れた所にトランクスと悟天が立っている。
微妙なポーズのズレにより二度失敗してしまったが、三度目は成功した。何もしていなくても強い気を感じる。
名前はどうやら、ゴテンクスと言うらしい。
「三十分後には超サイヤ人で成功させるんだ」
「へっへっへ・・・オレを甘く見てないか?」
しかし性格に難があり、ピッコロの静止も聞かずに魔人ブウの元へと飛んで行ってしまう。
もちろんまだまだ修行の足りていないゴテンクスは見事にボコボコにされて帰って来た。
「・・・ゴテンクス、かっこ悪い」
悟宙がぼそりと呟いた言葉はゴテンクスの心に大ダメージを与え、トランクスと悟天に分裂した後も二人の心にもずっと残る物となった。