御伽噺書架

□兄妹が迷い込んだお菓子の家
1ページ/7ページ

 昔々或るところに、貧しい夫婦がおりました。夫婦には、勘右衛門と媛という息子と娘がおりました。ふたりは仲の良い兄妹でした。
 或る晩のことです。
 勘右衛門と媛が、ベッドに入ってしばらくのこと。
 両親が、深刻な顔をして話し込んでいました。
「今月も家計が苦しいわ・・・・・・」
「このままじゃ、来月はもっと苦しいな・・・・・・」
「あの子たちも食べ盛りよ・・・・・・もっと食べさせてあげたいけれど」
「勘右衛門が仕事を憶えてきたとはいえ、まだまだ半人前だ」
「せめて媛が・・・・・・」
 両親は深々と溜息を吐きました。
 それを、勘右衛門はこっそりと聞いていました。

次へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ