御伽噺書架
□兄妹が迷い込んだお菓子の家
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昔々或るところに、貧しい夫婦がおりました。夫婦には、勘右衛門と媛という息子と娘がおりました。ふたりは仲の良い兄妹でした。
或る晩のことです。
勘右衛門と媛が、ベッドに入ってしばらくのこと。
両親が、深刻な顔をして話し込んでいました。
「今月も家計が苦しいわ・・・・・・」
「このままじゃ、来月はもっと苦しいな・・・・・・」
「あの子たちも食べ盛りよ・・・・・・もっと食べさせてあげたいけれど」
「勘右衛門が仕事を憶えてきたとはいえ、まだまだ半人前だ」
「せめて媛が・・・・・・」
両親は深々と溜息を吐きました。
それを、勘右衛門はこっそりと聞いていました。