magi short

□紅白の胎児
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「本当に...授かったのですか?」

「はい、紅明さま。私と貴方の子供が、確かにここに」


名前は腹部を撫でる。
なんだか少し膨らんでるように見えた。

紅明は思わず落涙しそうになった。
それをこらえて、身震いした。
名前はほっこりと微笑み、紅明の長髪を撫でた。


「きっと紅明さまに似て、綺麗な紅色の髪をしていることでしょう」


唖然した。
名前は何を言っているのですか?
あなたにも、こんなに素敵な髪が...
美しく、清らかで、上品で優美な心も...


「どちらか、と言わずに、きっと名前に似るでしょう」
「...そうでないと、私のように怠惰で任せっきりの...」

「では、半分こです」

「は?」


名前は立ち上がって、茶を淹れた。
私が、と言うと、首をふられた。


「湯と茶葉で茶ができます。それは、二つが揃うからこそです」
「すなわち、半分こですね」


淹れたお茶を飲む名前。
紅明も一口頂いたあと、


「名前」

「はい」


紅明は名前の手を握りまっすぐ見つめる。
名前は彼の綺麗な瞳に見つめられ、ほう、とため息をついた。


「これからは、あなたと、子供、私。守るべき存在が増えました」

「愛してます、名前」


「はい、私もです。紅明さま」



胎児が笑ったような気がした。

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