ぐるまゆともふもふ。

□700話のおにぎり、その後。
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朝食の後片付けをキッチンでサンジはしていた。
すると。


コンコン。


扉をノックする音。
──こんな事をするのは、あいつしかいない。
そんな事を思いながら、
「ローか、入れよ」
洗い物をする手は止めず、サンジは呼び掛ける。
「黒足屋……、何故、分かった」
「あぁんっ、んなの簡単だろっ!!
 うちの一味で御丁寧にノック付きで、ここに入る様な行儀のいい奴ぁ、いねぇよ。
 まぁ、ナミさんとロビンちゃんは、別にして、な♪
 となりゃあ、ロー、お前しかいねぇ」
キッチンに入って来たローへ振り向かず、サンジは答える。
「はっ……」
これで、何度目だろうか?
麦わら屋一味と同盟を組んでから、驚くのは。
そんな事を考えながら、ローはどうしたものか思案顔で立っている。
「茶ぁ入れた、まぁ、飲め」
「あぁ、黒足屋、ありがとう……」
椅子に座り、湯飲みを持ち、一気に飲み干す。
「そんなに喉乾いてたのか?
 も一杯、いるか?」
「いや……、黒足屋。
 パンが嫌いなおれの為に、おにぎり、ありがとう」
「別に、貴重な食材、無駄にする訳にいかねぇし、お前の為じゃねぇよ。
 うちには、大飯食らいがいるから、遣り繰りは当然だっ」
ド〜ンッ。
煙草を美味そうに吸いながら、サンジは答える。
「はっ……」
これで、何度目だろうか?
麦わら屋一味と同盟を組んでから、驚くのは。
「黒足屋、ひとつ言っておきたい事がある……」
「なんだ?」
「おれは、梅干しは嫌いだっ」
言ってしまってから、「はっ……」とする。
これで、何度目だろうか?
という下りは繰り返しなので、以下略。
「あぁんっ、お前っ、ロー、そゆ事は、パン嫌いを伝える時に言えっ!!
 さっきも言ったが、貴重な食材を無駄にするなんざ、おれぁ、許せねぇっ!!
 食ったから、許してやるが……、限られた食材で美味しく提供出来てこそ、料理人(コック)ってもんだ、覚えとけ」
「あぁ、黒足屋、すまない。
 って、何で、逆切れされてる、おれはっ」
「お前が、料理人(コック)であるおれに、必要な情報、与えてねぇのが、悪ぃんだろっ。
 何なら、忘れらんねぇように、蹴り入れてやろうか、あぁんっ?!」
と、ローとサンジがヒートアップし、サンジがローの襟首に掴み掛かり、今にも、足技を繰り出そうとした、その時。


「……邪魔した、悪ぃ」


ノックをしない行儀の悪い一味の1人、ゾロが、サンジとローを見比べ、一言残すと、出て行った。


「あぁっ、くそっ、あいつ、絶対ぇっ、誤解した、うわぁ、有り得ねぇ〜っ。
 女じゃねぇ、お前に、慣れねぇ気なんか遣っちまたからじゃねぇかっ?!
 用は済んだな、じゃあなっ」
そう言い残すが早いか、サンジは急いで、キッチンを飛び出して行った。
サンジの行き先は、もちろん、ゾロである。
「はっ……」
これで、何度目だろうか?
麦わら屋一味と同盟を組んでから驚くのは?
本当に、おれに、麦わら屋一味は、手に負えるのか?!
そんな事を思いながら、何故か、胸に小さな痛みを覚える、ローの姿が、キッチンに取り残された。



The end.
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