季節物。
□大輪大甘菜 side料理人。
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だぁ〜っ、くそっ。
ちょっと目を放した隙に、あいつ、クソマリモ、おれの美人さん……。
さっきまで、隣を歩いてたのに。
居ねぇ……。
ゾロの迷子になる才能は、おそらく……、悲しいかな、世界一だろう……。
ったく、探す身にもなれっつうんだっ!!
まぁ、でも、あれだ。
見つけてやった時の、あの、ほっとした顔……!!
あぁれは、捨て難ぇんだよ、なぁ……。
だから、約束したんだよ、美人さん……、あっ、いや、ゾロとおれぁ。
「ゾロ、美人さん、これだけは言っとくぞ?
もし、おれとはぐれて、迷子になったら、闇雲に動くな。
絶対ぇに、おれが見つけてやっから、な」
「いいか、ゾロ、てめぇは、周囲(まわり)のヤツが迷子になってると思って、探しに行くが……、そう思ってていいから、ジッとしてろ、そうすりゃ、おれの磁石が正確に、美人さんを探し当てる、な?」
小指を絡めて、指切りまでして!!
なのに。
居ねぇ……。
って、進行方向に居んのは、ゾロっ?!
ったく、どういう才能なんだ、あれぁっ?!
来た方向と違う方向から現れる……。
おっ?
あいつにしちゃ、上出来じゃねぇか♪
見晴らしの良い丘に……。
って、うおおぉぃっ!!!!
何で、そっから、落ちんだっ?!
「……コック」
呼んだか、今。
呼んだな、確かに。
ゾロへ向かう足を更に早め、ゾロの背後から近付き、抱き締めながら、おれは答える。
「呼んだ?
見つけた、おれの美人さん」
そして、おれは、ゾロのうなじを甘噛みしていた。
「あっ」
ゾロは声をあげると意識を手放し、おれの腕の中へと身を委ねていた。