Web拍手掲載物。

□虎が靡く方法。
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「コック、これ……」
「ん?オーバーオール?おれに着ろって?」
「……違ぇ」
夜更けのキッチンで晩酌をしているのは料理人と三本刀使い。
三本刀使いが顔を逸らしながら、料理人にオーバーオールを差し出している。
今晩の酒と肴に紹興酒の熱燗と小龍包と茹で白菜にポン酢を添えて用意してくれている。
本当に、料理人の料理は美味しい、絶対に手を抜かないし。
料理人との晩酌も楽しい。
だから、それは、御礼代わりみたいな意味でもある訳で。
「んじゃ、何、美人さん?」
「うっ……」
にやりとした笑みを浮かべて聞き返すのは、三本刀使いの言いたい事が分かっていて、で、あるのは明白である。
「ほら、言ってくんねぇと、伝わんねぇだろ、おれに、な♪」
完全に弄りたいMODEな料理人。
──察せよっ、エロガッパっ!!買うのも、恥ずかったってぇのにっ!!
そんな事を思いながら、意を決して、告げる事にする。
「いいかっ、エロガッパっ!!1回しか、言わねェっ!!耳の穴、かっほじって、よぉ〜くっ、聞きやがれっ!!」
「うんっ♪だったらさ、美人さんっ♪おれが聞き逃さねぇ様に、ここに来るべきじゃね♪」
にっこりと笑みを向けながら、料理人は、太股を指差した後、両腕を広げてみせる。
「……うっ。いっ、嫌だっ」
「ん〜、じゃあ、このままでも構わねェけど、聞き逃すかもしんねぇよ、おれ。それでも構わねェんだな、ゾロ、美人さん?」
完全に遊ばれてしまっている。
「ほら、おれは、近くで、言って欲しいんだって、な?来いよ」
「へっ、変な事っ、しねぇかっ?!」
「ん〜、どうかな?美人さんの言う事次第?」
顔だけでなく、身体まで、紅くなっているのを感じながら、三本刀使いは、料理人の太股の上に跨がった。
その途端──。
「……ふっ」
素早く、料理人の腕が三本刀使いの後頭部を引き寄せ、唇を奪う。
「コッ、コックっ、これじゃ、言えねぇっ!!……////」
「だって、可愛いかったから、思わず?」
悪びれもせずにそんな言葉か返って来て、更に、頬が熱くなる。
「ほら、聞かせてよ?」
料理人は抱き寄せながら、甘く何時もより低めの声で促して来る。
──ああ、また、捕まっちまった……。こいつは、堕天使かよっ?!
そんな事を思いながら、自然と料理人の身体に絡まっていく腕に恨めしさを感じてしまうが、どうしようもなく、この目の前の男が愛おしいのだと、再確認させられる。
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