季節物。

□パンプキンプティング。
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サンジはゾロのピアス側の椅子に腰掛ける。
「もう1回、聞くぞ?ゾロ、なんで、そんな格好してんだ?」
サンジは再び、聞いていた。
聞かなくても、大体の想像はついている。
が。
──ふふん、分かってんだ、おれぁ。
 ゾロ、こいつは、少し、意地悪してやるくらいのほうが、良いんだよなぁ。
そんな事を考えながら、ゾロが口を開き、言葉を紡ぐのを待つ。
「あっ、こっ、これはっ。
 ナミとロビンがっ、はろうぃんだっつって……。」
「着るように言われたんだ?」
「断れると思うかっ?!断ったら、上陸の時の小遣い、減らすって……。」
「あぁっ、困るよな、刀の手入れ代金、安くねぇもんな。おれぁ、バラティエ時代の持参金があるから、まぁ、そんな困らねぇが。
 ゾロは、ルフィとナミさんに会うまでは、『海賊狩り』の異名は有っても、なぁ?で、何で、その格好?」
それかけた話を戻す、サンジ。
「なんか、はろうぃんには、仮装しなきゃなんねぇって……。ナミとロビンが、ウサギがいいとか、赤ずきんがいいとか……。……////。」
──鼻血、吹きそう……、やべぇ。
ギリギリの綱渡りな精神を保つ、サンジ。
「赤ずきんなバニー?」
「……ああ……」
「なるほど、だから、おれは、狼の耳なんだ♪」
「……はぁっ?!
 意味分かんねぇっ」
ゾロは真っ赤な顔をしつつも、驚きの声を上げる。
「何かな、今日は、ナミさんとロビンちゃん含め、あいつらは帰って来ねぇんだと。何やら、この街は、ハロウィンで有名らしくてな。チョッパーなんか、瞳(め)ぇ、キラキラさせてたらしいぜ?おれ達は、まぁ、船番だとよ」
「……ああ……」
──何なんだ、その一杯一杯感はぁっ。
「ハロウィン料理は、仕込んであるし、おれ達はおれ達で、楽しもうぜ?」
サンジはゾロの肩を抱き寄せ、ピアスのある側の耳に、甘く囁きかける。
「コック……」
「ん?」
「脱ぎてぇ……」
──どきゅ〜んっ。
 何だ、その可愛い、誘いっぷりはぁっ?!
「ゾロっ、てめぇはぁっ」
「バッ、違ぇっ、はっ、恥ずかしい、か……らっ、こんな……」
「こんな、何?」
サンジは聞きたいのだ、ゾロの口から。
「……ウサギの……かっこう……。あ、あっ、網タイツまで……。それに、袖口だけ付いてるとか、意味分かんねぇだろっ?!仕上げだっつって、赤ずきんまで」
「そうか?おれぁ、嬉しいけどな。おれの美人さんを素敵にコーディネートしてくれた、ナミさんとロビンちゃんに感謝してぇくれぇだぜ?」
「コック……」
「ダ〜メだ。ナミさんとロビンちゃんの好意を無駄にして、レディを悲しませる様な事、おれには、出来ねぇ。取り敢えず、飯の支度するから、食おうぜ、な?」
羞恥心で顔も身体も真っ赤になっているゾロの手を握りながら、サンジは耳許に囁く。
「……くっ……、分かった……」
──何だかんだ言っても、ゾロ、こいつは素直に従うんだよなぁ、おれの言う事に。それだけ、おれを愛してくれちゃってるワケだが。
そんな事を思いながら、冷蔵庫にしまっていたハロウィン料理を出し、食事の支度を始めた。
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