Kurobasu

□み・や・じ!!【宮地】
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今日もアイツは俺の名前を嬉しそうに呼ぶ。


『みゃーじさんっみゃーじさんっ』

「・・・。」

『みゃーじさん?』

「・・・。」

『おーい!みゃーじさぁぁぁぁあん!!みゃーじさんってばー!』

「うるせー!!聞こえてるっつーの!轢くぞ!!!てか、なんだよ ”みゃーじ” って。宮地だっつってんだろいつも!!」

『だって呼びやすくって』



1個下のマネージャーの名無しさんは
いつもいつも・・・何回注意しても

『みゃーじさん』って呼んでくる。



「み」

『み?』

「や」

『や』

「じ」

『じ』

「み・や・じ」

『みゃーじ』

「なんでだよ!!意味わかんねーよ!!!」

『えへへー』



褒めてねぇっつの!

なんだよその無駄に可愛い顔は。
轢くぞ。



「みゃーじ じゃなくて宮地だかんな!」

『ダメですか?みゃーじさんって呼ぶの』

「・・・あぁ。」



そんな悲しい顔すんなよ・・・くそ。
迂闊にも許しそうになる。



「高尾とか高尾が、からかって呼んでくるんだよ・・・ハァ」

『なぬ?!』

「は?」

『みゃーじ呼びは私だけじゃないんですか?!そんなっ!私ひとり特別な呼び方がしたくて呼んでたのに!!!』



そんな理由があったんですか。
なんだよその可愛い理由は。


『じゃあ清志先輩!』

「は?!バ、バカなんだよそれ」

『みゃーじさん呼びが他にいるなら、他にはいない清志先輩呼びにします!』

「や、それはちょっと」


さすがに照れるだろ!!!!!


『なんでですか?!先輩、私のことなんて呼んでます?』

「・・・っ 名無しさん」

『じゃあ私も下の名前で呼びます!清志先輩っ』

「いっ意味わかんねーよ!」

『あれ?清志先輩顔赤いですよ?』

「知らねーよ!」

『あっ!清志先輩待ってくださーい!』



俺は 名無しさんから逃げるように
自主練に戻った。

そして

「き・よ・しせーんぱいっ♪」

「本気でやめろ高尾。轢くどころじゃ済ませねーぞ」



名前で呼んでいいのは
名無しさんだけ。

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