僕達の日常〜私と彼等の物語〜

□第4話
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久しぶりに部活のない日曜日。
暇を持て余したあたしはまーくんの部屋に突撃。

しかしまーくんはダーツの本を熟読中で全然構ってくれん。

ぐぬぬ、つまんない、つまんなーい!!

『まーくん』

仁「おん」

『雅治くん』

仁「おん」

『にお』

仁『おん』

『臭うくん』

仁「おん」

『臭う雅フミくん』

仁「おん」

うわっ、空返事も空返事だな!
ぐぬぬ、敵は強い!!

あたしの視線の先の愛しい人は綺麗な指で本のページを捲っている。

いつもならその指はあたしに触れてるのに…

って、何考えて!?

ま、まーくんが構ってくれないのが悪いんだ!

『…』

まーくんの背後に立つ。
背中がガラ空きだぜ!!
はっはっは!

しゃがむと背中にピタリとくっつく。
まーくんの体温が伝わってきてそれだけで安上がりなあたしは幸せな気分になれる。

仁「…」

あたしがこんなに頑張っているのにまーくんは本を読むのを止めてくれなくて、見向きもしてくれない。

ぐぬぬ、諦めぬ諦めぬぞ!
あたしは諦めが悪くてしつこいんだ!!

今度は正面に回りまーくんから本を奪う。
もう最終手段に出るしかない。

仁「渚月?」

やっとあたしを見て名前を呼んでくれた。
嬉しくてにやけそうになる顔に力を入れる。
まだ許してあげないんだから!!

手に持っている本を投げるとバサっと音を立てて床に落ちる。

よし、これでフリーになった。
あたしはまーくんの胸に飛び込む。

背中に腕を回しギュッとキツく抱きつく。
するとまーくんもあたしの背中に腕を回して抱きしめてくれる。

やっぱりこうしてもらうのが一番好き、大好き。
愛されてるって身をもって感じることが出来るから。

仁「ククッ」

『何笑ってんの?』

仁「うちのお姫様は寂しがり屋でヤキモチ妬きじゃな」

『え?』

仁「本に嫉妬する渚月可愛かったぜよ」

『〜っ!!』

あたしは声にならない声をあげる。

ハメられた!
ヤキモキするあたしを見て楽しんでたんだ!!

仁「いやいや、俺は愛されとるのぅ」

チラッと盗み見たまーくんは喜びの表情を浮かべている。
だけどあたしは素直に喜べない。

くそぅ、仕返ししてやりたい。
あたしはない頭で考える。

ポクポク…
ポクポク…
チーン!

『まーくん』

仁「なん…」

喋り終わる前に唇を自分の唇で塞ぐ。
暫くして唇を離すと頬を赤く染めているまーくんが目に入った。

ふふふ、やった、やったぜぃ!!
滅多に見ることの出来ないまーくんの照れ顔いただきました!

頭の中で小さいあたしが小躍りを踊っていると頬をガシッと掴まれまーくんの方を向かされる。

『あ…』

仁「ほぉかほぉか、渚月はそんなに俺とチューしたかったんか!」

『ちょっ、まーくんあのね!?』

仁「おまんの気持ちは良ぉ分かったナリ」

『あ、え、あ…』

仁「判決、渚月を…

チューの刑に処す!」

『いやー!!』

頬を両手で固定されているあたしにもう逃げ場はない。






あたしがまーくんのチューの刑から解放されたのは陽が傾いた頃でせっかくの休日はもう終わろうとしていた。

みなさん仕返しはほどほどにしましょう。

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