Word

□雪のような転入生
2ページ/3ページ










そして、次の日。
天候は前日と変わらず灰色の空が街を覆う。
ある教室にて、季節外れの転校生が教団の前に立っていた。





「雪見蒼です。宜しくお願い致します」


自己紹介をしてペコリと頭を下げる蒼。
落ち着きがあり、ふんわりしたそのオーラは、男女共々釘付けにした。
整った愛らしい顔立ちに、雪の多い街で育った証の白い肌、儚げに微笑む優しそうな表情は、まるで深々と降り積もる雪景色のよう。
座る席を指定され、そこに向かう途中こっそりと真昼にニコッと微笑み手を小さく振った。
予感的中、真昼と同じ学校、目が合い真昼も手を振り返す。

その後の休憩時間は、一気に皆の注目の的となった。





「雪見さんてどこから来たの?」
「肌白いもんね!東北とか?」
「ねぇねぇ!好きなものは?」


「オイ、そんないきなり質問押しつけても話せねーだろ?」

「ごめんね?でも珍しいね、こんな時期に転校なんて」


沢山話しかけてくれる言葉たちに、蒼はにっこり笑って「大丈夫よ」と言い質問に答えていった。




「雪が沢山降る街で育ったの。好きなものはアイスと紅茶、あと唄を歌うのが好きだよ♪」


手を合わせてふんわり笑みを零しながら言う蒼に皆が癒されていた。
そんな蒼を見る真昼と目が合い、先ほどの様に手を小さく振った。
真昼も小さく手を振り返す。


放課後、真昼、龍征、虎雪の三人が集まり、帰宅しようと集まっていた時、蒼が「真昼くん!」と呼んで、とととっと近くに寄って来た。
まるで小動物の様だ。





「真昼くん、もう帰り?」


「うん。どうかした?」


「あのね?もし時間があればでいいんだけど、同じ帰り道だから、その途中どこに何があるか案内してくれると嬉しいなって」

「ああ、いーよ」

「良かった、ありがとう♪」


またも手を合わせて言う蒼。
どうやら手を合わせるのが癖の様だ。




「俺も付き合うぜ、寄る所あったしな」

「あ、オレも行くよ〜」


「ありがとう」


道中に、龍征、虎雪と自己紹介、真昼とは先に挨拶していた為カット。
みんな宜しくね、と返し、街を案内してもらう蒼。
辺りが暗くなる頃に二人と別れ、マンションまで真昼と蒼の二人歩いていた。




「二人とも素敵な人達だね」

「あいつらとは小学校から一緒なんだよ」

「そうなんだ。仲良いんだね」

「はは、やっぱ付き合い長いしな」

「ふふっ…でも良かった。不安だったから、みんなと楽しく話せて安心した」

「それならいいけど」


話している間にマンションに辿り着いた二人。
蒼は部屋に着くまでに一つの疑問を真昼に聞いてみた。




「真昼くんは、このマンションに誰と住んでるの?」

「え?叔父さんとだけど…何で?」

「なんとなく…かな?」

「?」

「ごめんね?急に変なこと聞いちゃって」

「いや、大丈夫…」


それぞれの部屋の前に到着した。
「また明日ね、真昼くん」と部屋へ入ろうとするところを、真昼は「あのさ!」と止めた。
?をかざして蒼は真昼の方へ振り向く。





次へ
前へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ