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□悔しさから生まれる思い
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   #11.悔しさから生まれる思い






「叔父さんっ俺…学校行く!!」




「おう!車に気を付けろ!蒼ちゃんにもよろしくな!はっはっ」


寿司を食べに来ていた真昼と叔父。
リュックを背負い、叫んで直ぐ店を出て走り出す。
街中を走り続ける中、真昼は桜哉のことを思い出していた。









桜哉


俺はお前のこと…

本当に何も知らなかった



何も知らないで

ただ武器を向けた





ごめんな


桜哉

俺の隣で どんな顔で 笑ってたっけ




桜哉―――――…
























20XX年、11月20日。
真昼、中学三年生。
それは三者面談のお知らせだった。
真昼は家族である叔父にその知らせを伝える為、電話をかけていた。




『うん、わかった。大丈夫だよ。行きたい高校も決まってるし。

 うん。謝らないでよ叔父さん。大丈夫だからさ。


 仕事中に電話しちゃってごめん。

 叔父さんこそ体に気をつけてね。うん、それじゃ…』




『…叔父様、来れないの?』

『ああ…』

『そっか…仕事、忙しそうだもんね』

『…うん』



心配をしてくれて、隣に蒼も側にいてくれている。
けれどやっぱり、どこか寂しく感じる真昼。
そこへ、その空気を壊すように一人の人物が真昼の背中を押した。








どんっ

『まーひるっ、蒼っ』


『!』

『桜哉くん!』


『今日、真昼んちで夕飯食っていい!?最近コンビニばっかでさー』






『桜哉…』


『…あー…三者面談?真昼んちの叔父さん来れそう?』

『今、長い出張中でさ。しばらく戻るのムリそうだって…』



『さっき、真昼くん電話してたの。忙しいみたいで…』

『あ――――そっかー…オレもさっき先生に親いないし一人でって言って来たよ』

『そっか…桜哉くんもなんだね』

『まっ、オレは親がいたとしても面談とか必要ない成績だけどっはははっ』

『はは…そーだっけ?』


明るく言うも、真昼はやはりどこか気分が落ちている。
そんな真昼を心配そうに見守る蒼。
だが桜哉はそれでもその空気を壊してくれた。






ポン

『…へこむなよ』



『…!』







『じゃあさっ、オレと真昼と先生で三面やろーぜっ』


『あっ!それいいかも!いい考え!』

『だろ?!蒼も入る?』

『え?いいの?』

『当ったり前だろー?』

『…うん、入る!私も親いないから、一緒にやりたい!』

『はあ?どーゆー面談だよそれ』

『あ、そうだよ桜哉くん!三面じゃなくて四面だよ?四人でやるんだもん』

『いや蒼、そういう問題だけじゃないから…つか突っ込むとこ違うだろ』



『はは。こんなのどーでもいいってことだよ。元気出せよ真昼』









   ―――――『一人じゃねーよ』―――――







あの時…嬉しいと思った気持ちは消えてない



俺は確かに桜哉と


蒼と一緒に笑ってたんだ




桜哉…!!





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