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□それぞれの捉え方
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   #15.それぞれの捉え方





「…あのね?」

次の日の夜、公園にて。




「お兄ちゃんもそんなに暇じゃないのよ?」

ぱたぱたと帽子で仰ぐ有栖院御国、後ろにはリリイとジェジェ。
「なんでお友達まで連れてきちゃったのかな?」と言いながら帽子を被る。
御国の前には真昼と鉄、一人では寂しいからと言っていた為、蒼も一緒についてきていた。




「いやっ…こいつ鉄っていって、“傲慢”の主人(イヴ)なんです!」

「それは知ってるんだけどね…」ぼそ


座る御国の呟いた言葉は誰の耳にも届かず…。
御国からひょいとアベルが逆さまに取られた。
アベルを手にして平然としているのは鉄、そんな鉄にあああああああと叫びながら御国はしがみつく。




「オレのアベルを性的な目で見るな!!」

「?見ねーよ。人形だろ?」

「ああああ乱暴するな!!暴漢め!!アベルの純潔が――!!」


まだうわああああと叫んでいる。
アベルを取り返した後、くるっと背を向けて帰ろうとしていた。




「あ――やる気なくなった、帰る。アベルを性的な目で見る暴漢とは同じ空間にいられない。オレこいつ嫌」

「ちょっ、御国さん!!」



ギギ…ィ

「なんじゃ…?騒がしいのう。我が輩を呼んでおるのか?我が輩こそが!!“傲慢”の真祖(サーヴァンプ)…バ――ン


「鉄くん初めまして。“色欲”のスノウリリイと申します…今回私がひと肌脱ぎま「脱ぐな。も―――あっちこっちで」

「わあっ…相変わらず綺麗な身体…っ」キラキラ

目をキラキラさせるな蒼!!目に毒だぞ?!」



「久しぶりじゃな!お主相変わらず美しいのう!」

「ごぶさたです〜〜〜久しぶりに言われましたー。最近はキモイとばかり言われて…」

「〜〜〜〜…〜〜〜〜…」


「みんなマイペースだな―――…「やるぞ――」って盛り上がりたいよ…」

「いいんじゃない?みんな楽しそう♪」

「そうか?」


ふうと溜息をついたように「も――…しょうがないな」と断念したようだ。
「やるぞリリイ」と一声かけ、トッと街頭の上に身軽に立つリリイ。





「はい…それでは ひと肌脱ぎましょう?」


ふうと息を吹きかけ、ピンク色の息が辺りに広がった。
と同時に服も脱いでいる。
「…!?何してんだっ。キモいっ…つかまるぞ!?」と引く真昼に対し、蒼は思わず「わあ…」と魅了されている。
普段服を脱ぐリリイにいつもキラキラと目を輝かせているが、今回の姿もいつも以上にぽうっ…と魅せられていた。
いつの間にか辺りはふわあ、とピンク色の霧に包まれた。




「うわ!?ピンクの霧が……」

「ピンク…」

「なんか、幸せな色だね…」


「リリイの幻術で、他の人間が入れないようにしたんだよ。あいつはこーゆーのが得意なの」

「へえ〜…」

「さて…と」



御国は真昼に向けてビッと人差し指を立て、「一週間!」と宣言した。
少し事情が変わり、あまりゆっくりしてる時間がなくなったらしい。
ということで、真昼にはある程度使えるようになってもらうのが御国からの条件。
勿論真昼も驚きを隠せない。




ええ!?一週間って…」





「最初の課題は

 ジェジェの被り物を全部落として素顔を見ること!」



にっと笑いながら後ろにいたジェジェを親指で指名する御国。
いきなり指名されたことで、ジェジェはびくっと反応した。
当然ジェジェからしたら何で勝手に!?と思うのも無理はない。
怒りマークをいくつも飾らせながら御国に銃口を向けた。




「おっとお、そう睨むなよジェジェ〜〜〜?人を伸ばすにはこのちょっとしたゲーム感覚が大事なんだから―――

 血は飲ませたらだめだよ?武器(リード)は使ってOK。それから…

 4人がかりでどうぞ?


仕方なく構えるジェジェ。
真昼、鉄、クロ、ヒューの4人は構える。
…が?





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